小学校生活
物語を読ませたいと思いますが,図鑑をめくっているだけの子どもや「何を読めばいいか,わからない。」と歩きまわっている子どももいます。自分で本を選べるようにするためには,どのような工夫がありますか。また,入門期の子どもが一人で本を読むことは無理でしょうか。
【答え】
「読む本・見る本・調べる本」と,本の仲間を入門期の子どもにわかる三種類に分類して教えましょう。
「この時間には,この本の種類を選びましょう。」と,約束をしておきましょう。
一人で本を読む「習慣」をつけましょう。本と向き合うことは,本の世界に同化し,心を育てることにつながります。何より本好きを育てましょう。
【なぜ】
上記の分類は,本来の図書分類とは違います。入門期の子どもには,本の種類による違いはわかりません。
本には種類があること,目的によって使う本が違うことなど,入門期の子どもにわかりやすい,入門期特有の分類が必要だと考えます。
また,本を読むことは個人的な活動です。一人でじっくり本の世界に向き合い,その楽しさを味わうには「一人で読むこと」を目ざしましょう。短い時間でも一人読みの習慣をつけていきましょう。
【方法】
- 「読む本」とは,物語の本を指します。この時期には教科書で物語を学習し始めています。絵本と物語との中間程度の本を教師が選んで,示してもよいでしょう。
- 「見る本」とは,絵本を指します。絵から想像する楽しさが味わえますが,声に出したり会話をしたりしてお話を想像するなど,人とのかかわりが必要です。
扱い方によって,絵だけ見ておしまいという傾向もみられ,本と向き合う楽しさを味わうことができず惜しまれます。
- 「調べる本」とは,図鑑や辞書,辞典,事典を指します。入門期では,図鑑が中心です。
「本を読む」ことへの興味や習慣は,入学前の経験や環境により大きな差があります。まず本を手に取ることから始めますが,読んで欲しいのは絵本や物語の本です。
子どもが自分で選ぶことが,まず第一歩として大切です。主人公と同化するなどの意味では,幼児期からのつながりとして絵本が自然ですが,絵本は絵を見るというより,絵から想像する楽しさなど,文字で表現された物語を読むことより難しい面もあります。この時期には,短いお話を読むことを学習しています。ひらがなを読むことができる楽しさを,物語を読む楽しさにつなげ,本の世界を十分に味わうことが,「本好き」を育てることにつながると考えます。