一人ひとりが同じことを何回も聴いてきます。聴く力を育てる指導をしていますが,なかなか力がついていきません。
【答え】
一人ひとりの育ちの違いを意識して指導を見直しましょう。「自分で話を聴こうとする習慣」を育て,聴く力をつけることにつなげましょう。
【なぜ】
入門期の子どもの中には,自分で聴くというより,聴いていた友達の行動を見て真似をする姿もみられます。聴くことができる子どもと,聴くことができない子どもと同じ指導では力がついていきません。聴くことができない子どもの原因の一つは,「自分で聴こうとする意識や態度」が,十分育っていないということです。
聴くことは「自分が主体」であるにも関わらず,その意識や気づきの育ちは,一人ひとり違いがあります。まずは,自分で聴くということに気づかせ,その習慣をつけましょう。
【方法】
「先生は,今なんて言いましたか。」と教師の言葉を問い返す指導をしていますね。ここでの指導のポイントは,一人ひとり「全員に問い返す」気持ちで取り組むことです。うっかりすると,同じ子どもばかりが応えていませんか。一人ひとり全員が問い返しに対して応えられることが「聴いていること」であり,全員に聴く力をつける指導の鍵であると考えます。一日の流れの中で全員に問い返す,くらいの気持ちで指導に取り組みましょう。
教師が問い返すことを継続的に指導していくと,自分で聴く意識や習慣がついてきます。すると,子どもは「自分で聴いていれば,何をするのかがわかる。自分でできる。」と聴くことの大切さや楽しさを実感していきます。
そして,「日常的に繰り返し聴きかえすことを継続すること」が重要です。学習中だけでなく「どこに,何並びをするのかな。」「何をもって,どこに集まるって言いましたか。」など,日常の声かけでも意識して,問い返し「自分で聴く」意識や習慣を育てます。
指導を重ねていくことで聴く力は育ちます。一人ひとりの育ちに時間差があるのは当然です。繰り返し指導を積み重ねることで子どもは力をつけていきます。
子どもは何よりも『自分に力がつくことへの望みをもって学校へきているのだ』いうことを決して忘れることなく,指導に取り組みたいと考えます。