☆コラム 夏休みの作品や思い出を伝えます。話す力・聴く力をつける機会ととらえましょう。
発表会の題名は「こんなことできたよ発表会」などでは,どうでしょうか。
夏休みの思い出で一番楽しかったことやできるようになったことを友達に伝えます。
○まず,何を話すのかを決めます。
ある教室でのこと。先生は「夏休みの思い出を何でもよいから,発表しましょう。」と子どもたちに話します。「朝顔がいっぱい咲いたこと」「泳げるようになったこと」など,先生は子どもたちから話したいことがいっぱい出てくると思っています。
しかし,入門期の子どもは,楽しかったことも,感動するようなことも,すぐには思い出せません。またいくつもの楽しさの中から,話したいことを絞ることも難しいのです。何を話したらよいのか,考えがまとまらず,何も言えないことがあります。
ですから,何を話すのか,「夏休みの一番楽しかったこと,できるようになったこと」など絞りをかけて,話したいことが見つかるように支援しましょう。
○次はどのように話すのか指導します。
学習中の考えを話すこととは違います。ここでは「何がどのように」など話が伝わりやすいよう話型を示して,具体的に指導しましょう。
何が一番楽しかったのか,うれしかったのか,できるようになったのか,結論から話します。例えば
「一番うれしかったのは,ちょっとだけ泳げるようになったこと。」
「初めは水に顔をつけるのが怖かった。でもお父さんに手をつないでもらっていたら怖くなくなった。」
「水を飲んだ時は嫌だと思った。だけど体が浮いたらおもしろかった。」
など,三文から五文ぐらいで話すように指導します。一文一内容で話すよう指導しますが,言葉をそのまま覚えるような指導は必要ないでしょう。むしろ何を話すのかをつかませたら,一回ずつ言葉や語尾が変わっても,内容が伝わればよいのです。読むではなく,話す力をつけるのです。話す力をつける個別指導の機会ととらえ,指導しましょう。
話したいことを書いてそれを読む指導を見かけますが,紙に書いてあると,子どもはそのとおりに話さなければと思い,言葉や語尾までそのとおりに覚えて読みます。そして,それを話すことができたことと思ってしまいます。これでは話す力はつきません。
話すことの力をつけるのですから,できるだけ書かないで,話せるように指導しましょう。もし書く場合には,メモとして扱い「何文話すのか」の目安にするくらいにしましょう。
話の題は,決めなくてもよいでしょう。何を話し合うのかの絞りがかけられて,題は決まるのです,形だけの題は必要ないと考えます。