入門期の子どもは,話し始めても途中で話が止まってしまうことが多々あります。なぜ途中で途切れてしまうのか,どのように指導してよいか困っています。
【答え】
「最後まで話す」「最後まで聴く」話すこと・聴くことの力を「鍛える」ことを意識し,指導の質を高めましょう。
【なぜ】
入門期の子どもは,思いついたことを言葉にして話しているので,話すうちに話の内容を忘れてしまったり,わからなくなってしまったりするのです。中には話しているうちに,自分の話が間違っていると気づき黙ってしまうこともあります。話し始める前に,話すことを整理する力や,考えをまとめる力が十分ではないからです。
話したい気持ちで話し始めたので,最後まで話したいのです。しかも,日本語は語尾まで話さないと何が言いたいのかわかりません。
しかし,よく見かける場面は,子どもの話が止まると,その先を「○○ね。」と先生が続けて話している姿です。先生の憶測や思い込みで都合のよいように話が続けられ,いつの間にか,子どもが話そうとする内容とは違う方向に進んでいることも珍しいことではありません。これでは話す力は育たず,話す意欲も高まりません。先生が子どもの学びを奪う,残念なことです。
話が止まった時こそ,話す力や聴く力を育てる・鍛える場面なのです。
【方法】
子どもが,話の途中で止まった時は「それで,だから,どうしたい」など,話が続けやすいように,接続の言葉や短い質問のような言葉かけをしてみましょう。
言葉を投げかけられることで,子どもは考えます。そのとき,何をどのように考えるのかを導き出せるように,言葉をかけましょう。
話型にこだわることはありません。子どもが話したいことを考える,言葉にしていくことが大切なのです。そして最後まで自分の力で話すことができるよう鍛える,指導の目的からぶれないことです。子どもの話を先取りせず,根気強く子どもの話そうとする気持ちを待ち,言葉を聴きましょう。
子ども一人一人の話す力に応じて取り組みますが,もし,最後まで話すことが難しいと感じたときは無理強いせず「後で話してね。」と次の機会を約束しましょう。先生が無理に話を収めることのないようにしたいものです。
また,教師や他の子どもたちとの対話を通して,話したかった内容を思い出したり,整理したりして力を鍛えることもできます。聴いている子どもたちは,友達が何を言おうとしているのか,考えながら最後まで聴くように支援します。
自分の力で話すことを考える,どのように話すと伝わるのか話し方を考える,など考えることを通して,話す力と聴く力をつけるのです。ですから,入門期においては,「最後まで話す」「最後まで聴く」指導が,特に重要であると考えます。