書字指導の前ですが,字を書く楽しさを味わえる活動がありますか。
【答え】
「自分の名前を自分で書く。」ことを楽しみます。
【なぜ】
就学前の経験や家庭環境などにより,子どもの字を書くことへの関心や意欲には違いがあります。兄や姉の書く字を見て真似をするうちに自然に字を覚え,読んだり書いたりできる子どももいます。早く字を書きたい,たくさんの字を知りたいと思っている子どももいれば,なんとなく字を書くのは苦手だなと思っている子どももいます。
その理由の一つに,書字の約束事が考えられます。筆順や形などいくつもの約束があり,正しく書けるよう何度も練習を重ねます。大切な指導ですが経験のない子どもには,この指導から始めると字を書くことへの苦手意識や難しさにつながることもあります。
まずは,書く楽しさを味わうことから始めることが「字を書く」ことへの意欲につながると考えます。
【方法】
すずきゆうこ |
書く楽しさをここでは次のように考えてみます。
- 字がわかること
- 筆圧など抵抗なく書ける柔らかい,握りやすい筆記用具であること
- 美しく発色すること
- 作品のように飾ることができること
まずは自分の名前の字です。机やロッカーの自分の名前を見よう見まねで書く子どももいます。字がわからなくて困っている子どもには,薄く下書きをする支援も考えられます。どちらがよいかは,子どもと話しながら決めましょう。
次に筆記用具はクレパスやクレヨンなどを使います。好きな色を選んで書きます。一文字ずつ色を替える,全文字同じ色にするなど子どもの発想に任せますが,中には色を替えるなどの発想に気が付かない子どももいます。見本などを用意して紹介しておきましょう。
そして,のびのび書けるように,用紙は少し大きめ,四つ切り画用紙の横長を用意します。一人2枚ぐらい用意します。どちらか一枚お気に入りの方を掲示します。もちろん何枚書いてもよいのですから,多めに用意してもよいのですが,枚数を決めた方が楽しみながらも,丁寧に取り組みます。
さらに,出来上がったら一枚はお土産,一枚は教室に飾ることを活動の初めに知らせておきましょう。目的意識や相手意識をもたせることが「書こう」とする意欲につながるからです。