言葉の力が十分でないために,うまく伝わりません。この時期の子ども同士が伝え合うために必要な言葉の力,それを育てる工夫が知りたいです。
【答え】
学級での「共通の言語」をつくりましょう。
【なぜ】
言葉の力を育てるゴールは,伝わる楽しさや伝え合う楽しさが実感できることです。自分の思いが伝わることは嬉しいことです。しかし入門期の子どもは,言葉を学び始めたばかりですから,語彙も少なく,言葉の意味もよくわからずに使っていることもあります。
子どもにわかる,使いやすい言葉がこの時期には必要だと考えます。読書の項でも「見る本」(絵本)「読む本」(物語の本)そして「調べる本」(図鑑・事典)というように,本来の図書分類ではありませんが,子どもたちにわかりやすくするために,「共通の用語」をつくりました。意味がわかる言葉に置き換えたことで,子どもたちは,自分の読みたい本を自分で探し読むことができるようになり,読書への意欲も高まりました。
子どもが言葉を獲得していくためには,その過程で実感を伴うからこそ理解し,活用できる力がつくのだと考えます。言葉への関心が高まれば,意味のわからない言葉に対しても自分なりに意味を想像し,言葉の世界を広げていきます。「共通の用語」は,言葉を学ぶ初めの一歩だと考えます。
【方法】
学級での共通の言語は,対話を通して学級全体でつくっていきます。学習でも生活でもうまく伝わらず困ったときや,わかりやすい表現ができないときが「共通の用語」をつくる学びのチャンスです。
「これはどんな言葉で,どのように言ったら伝わるかな。」と問いかけ,考え合います。そこで生まれてくる言葉や話型を,学級での共通の用語や表現方法にすることを約束します。ここでの話型とは,「○○です。それは□だからです。」のような話型をさしているのではありません。
話の内容や順序などをわかりやすく伝えるための話し方であり,話し方の形を指導するのではありません。何をどのように話したら伝わるのか,話す力が十分でない子どもたちへの話の仕方のヒントのようなもの。『話しやすくわかりやすく,伝わること』が目ざすところです。
「共通の用語」は,学級みんなでつくる言葉です。伝える楽しさが味わえます。だからこそ,学級での人間関係がにじみ出るような言葉や話型が望ましいと考えるのです。