子どもたちにわかりやすく伝える難しさを感じています。簡単に説明しているつもりなのですが伝わりません。特に「聴く力」をつけようと工夫していますが,難しく,さらなる具体的な指導を知りたいです。
【答え】
「簡単」の質を考えます。
「聴く」についての言葉の成り立ちなど,意味や意義を説明します。そうすることで,「聴く」意識が高まります。
【なぜ】
一年生だから,簡単に言った方が伝わる,簡単でいいという声を聞くことがあります。「簡単」の質を考えましょう。簡単という意味は,必要なことが焦点化されているという意味であり,概要という意味ではありません。
一年生だからこそ,基となる考え方である意味や意義を伝えることが大切なのです。なぜなら,高学年は学習の積み重ねにより,意味や意義を想像し自分で考えることができますが,一年生にはその積み重ねはありません。具体的に説明しないと理解も意識化もできないからです。
さらに,意味や意義がわかると「わかった」と実感することができます。
例えば,一年生の国語科漢字の学習で,「山」は「山の絵」を使ってその成り立ちを表して指導します。具体的に漢字と結びつくので「ああそうなのか」と子どもは実感します。すると,その後「山」に関する漢字や言葉の学習に進んで取り組み,学習に広がりが生まれます。
このように,意味や意義が理解できると指導していることも「腑に落ちる」のです。意味や意義を具体的に示すことは,学びの「実感」に結びつきます。
【方法】
「聴く力」をつけるときには,「聴く」の漢字を使って指導します。「聴く」とは,「大きな耳と目と心を十分に使って聴く」と説明します。「聴く」と書きながら説明していくと,子どもは「ああ!」とその意味を実感します。特に目の字が入っていることに驚きを見せます。
なぜ目の字が入っているのかを説明すると大きく頷きます。「目」の意味は話し手の心をみるためと考えます。何を伝えようとしているのか,その顔を見てみましょう。にこにこしている? 怒っている? どんな顔で話しているのか,顔を見る ことで心も見えてくるのです。話し手の言葉が十分でなくても,表情から伝えたいことが見えてきます。ですから,「話し手を見て聴く」が大切な指導なのです。漢字のもつ意味を指導することで,「聴く」意識が高まります。
このように,指導には意味や意義があります。生涯の学びのスタートである一年生だからこそ,基盤に触れる指導が重要だと考えます。