全員に同じ内容の宿題を出すことや家庭学習のあり方について悩んでいます。
【答え】
宿題と家庭学習との考え方を整理しておきましょう。
【なぜ】【方法】
宿題と家庭学習とは意味が違うと考えます。ですから,意味の違いを明確にすることで,子どもや保護者へ提示する内容も明確になります。そして,先生も何を提示するのか迷いがなくなります。
私は次のように考えます。
教師が学習習慣と学習内容の補充を目的として提示し,子どもや保護者に強制力のある,それが「宿題」。そして宿題で提示する内容や方法は,家庭での「何を学習するのか」「どのように学習するのか」「どれくらいの量に取り組むのか」内容と方法と量(時間)を導くことにつながるものです。
ですから,宿題を提示するには,「何を目的として」「どのような内容で」「全員が自分の力で取り組める」そして「やってきたことへの評価がなされる」ことが重要です。内容や評価等において取り組みへの責任が伴うもの,それが「宿題」と考えるのです。
一方,子どもが学ぶ力と学ぶ喜びを味わおうと自ら取り組み,内容も取り組むか否かも含めて自由度のあるのが「家庭学習」と考えます。
少し先の話ですが三年になると,発達段階からか,または生涯で一番感性が育つ時期のためなのでしょうか。多くの物事に興味関心を高め,自ら家庭学習にも取り組むようになります。学習意欲が形になって見えてくるのです。
三年生からは宿題と家庭学習との併用で力をつけると考え,実態を鑑みながら取り組むのがよいと考えます。
低学年では宿題に重点をかけましょう。興味関心はあっても,それが必ずしも学習意欲に結びつくとは言い切れません。学習意欲や学習の喜びを一人で味わえるにはまだ難しいと考えます。
したがって,低学年では授業の中で学ぶ楽しさ,「わかる・できる」が実感できることに力をかけたいと考えます。
次に全員が同じ内容の宿題でよいのかについて考えます。
子どもが取り組みを選ぶことのできる,宿題の多様化を図ってはどうでしょう。
どの子どもにも必ずつけたい力の補充としての宿題,発展的な内容については子どもが選択し,取り組みは自由とするなど,子どもの理解度に応じた提示の工夫をします。
このように「宿題」と「家庭学習」のように複数の内容について同時に取り組む際には,それぞれについての考えを整理し,その考えから「ぶれない」ことが重要です。最初に考えを整理しておかないと取り組みが進むうちにぶれてしまい,何を求めて宿題や家庭学習を提示しているのかその目的を見失い,受け取る子どもにとって「なぜこれをやるのだろう。やらなければならないのだろう。」と,疑問や不信が生まれてしまいます。
子どもにも保護者にも信頼される教師として,「どのように考えるのか」自分の考えを明確にできる力をつけていきましょう。