授業づくりの研修を受けても思うように力がついてきません。何をどのように整理したらよいか悩んでいます。
【答え】
授業をつくる4つのキーワード―「内容」「方法」「時間」「空間」で整理します。
4つのキーワードについて次のように考えます。
【内容】 つけたい力と評価規準を考える
○学習指導要領の中身全てです。指導しなければならない内容です。
○どのような力をつけるのか,内容を焦点化してつけたい力を決めます。
○評価規準をつけたい力と対応させて考えます。
【方法】 つけたい力に適する教材と指導方法を考える
○教材のどの部分が力をつけることができるかを分析して決めます。
○教材は必ず自分で取り組んでみること。読む,解決する,実験する,資料で調べる,歌う・楽器で演奏する,運動するなど,子どもの立場に立って取り組むことで指導すべき課題が見えてきます。
子どもが学習する時と同じ条件,資料や教科書を使って取り組んでみることが重要なのです。子どもの目線という意識で教材と向き合うと,授業において子どもは「何を「どのように」考え,迷い,困っているのか,思考や反応を予測・理解しやすくなるからです。
教材研究は,つい,指導する側としての分析だけになりがちですが,子どもの側に立って教材と向き合うことが,教材を通して力をつけることへの考えを深めます。ぜひ取り組んでみてください。
【時間】 単元全体の必要時間数と計画を考える
○つけたい力をつけるためには,どの部分に重点をかけるかなど,単元全体を見通して指導計画を立てます。その時,重点をかける部分を決め,時間の配分を調整することが重要です。指導書を参考にした場合も目の前の子どもたちとは必ずしも同じではありません。実態に沿って計画を立て実践することが本来の在り方です。ここを間違えないようにしましょう。
さらに,一単位時間での学習においての時間の使い方を整理します。「個で考える」などの学び,「全体で高め合う」学び,そして全体での学びをもとに「個が自分の考えを見直す」学びなど,個の時間,全体での時間のとり方を内容の重点化により見通しをもって配分します。
【空間】 つけたい力をつける環境を考える
○全体・個・グループなどつけたい力をつけるための形態や座席を工夫します。
全体での学習は,考えを出し合い高め合うなど,主に話し合ってつくる学習です。コの字型など互いの顔が見える形にします。表情が見合えることで受容と共感の関係を育てやすくなります。
音楽など身体表現等の動きが中心の学習では,椅子だけの広い空間をつくります。立つ,座る,歩くなど自由に動くことができるからです。そして余分なものが取り除かれるため,安全面も確保できます。
さらに本読み,読み聞かせ,心を育てるなど。じっくり語り,一人一人に考えさせたいときは,床に座る形をとります。このとき教師は低めの椅子に座り,目線は合わせながらも,指導する側としての一線をつくるためです。これは圧力をかけるためではありません。目線を近づけながらも,指導者としての緊張感を伝えるためです。同じ位置に座ってしまうと一見,親しく話す雰囲気に思われがちですが,これは違います。あくまでも大事な指導をするという役割を意識して形態を工夫することが,子どもに真剣に真摯に向き合うことなのです。