☆コラム 教科等横断的視点に立った資質・能力の育成に関する実践例
*次は私の実践例です。
3年生の学習発表会に向け,「3年とうげ」の劇の指導をした時のことです。私は音楽担当として劇中歌2曲の指導に取り組みました。いつもの通り,歌詞の発音の仕方を母音の活用をして,響きのある歌声づくりにつなげる指導をしました。「すごい,響いている」と,すぐ目の前で聴いていた低学年の子どもたちからの声。「3年生とは思えない素晴らしい歌声」と,地域や保護者の方々から驚きの声が届けられました。3年生の子どもたちも体育館いっぱいに響く自分たちの歌声に驚き,嬉しいと口々にその喜びを伝え合っていました。
さて,この発音と発声については既述の項に載せていますが,その際には教科横断的な視点との意識はぼんやりしたものでした。なぜならこのようなことは,担任として今までにも数多く取り組んできているからです。
ただ,そこでは資質・能力の育成のための横断なのか,教科内容の横断なのか整理や見通し等については曖昧で,どちらかというと時間の節約を迫られカリキュラム・マネージメントに近い形での工夫でした。
今回の3年生の実践は二つの気づきを生みました。
一つは,「すごい響き」と感じている低学年の子どもたちの歌声に対する感性です。新学習指導要領解説にも『低学年であっても十分に歌声の美しさに関心をもち,魅力のある歌声に接すると,自分でもそのような歌声で歌ってみたいという意欲をもつ時期でもある。』と示されています。したがって低学年ほど歌声の指導は重要と考えます。
二つめは,この取り組みは低学年の国語科と音楽科における教科等横断的な視点に立った資質・能力の育成,もしくは教科内容の横断と言えるものですが,内容的には低学年のものです。
しかし,3年生になってもこの指導が十分でない場合には,3年生でも取り入れて指導していくことで資質能力が育成されると考えるのです。
学年にとらわれず「できていないところは取り戻す」という考えで指導に取り組むことが重要だと気付きました。
このように今回の改定に基づいた新しい考え方を学び生かして,子どもたちの指導を充実させ責任を果たせるよう力を尽くしていこうと考えます。取り組みは,チームで学び合うことが重要です。
今は,研究会への参加や会議は難しいですから,調べる・考える・考え合う(考え方を文章やPC等の活用,情報処理能力に当てはなりますね。)ことに取り組みます。新学習指導要領や学習評価における書籍が数多く出版されています。私も学習評価音楽科について2月出版の書籍に執筆しました。しっかり学び年間単元指導計画を作成して,学校再開時には自信をもって子どもたちの前に立ち,力をつけることのできる教師となりましょう。共にがんばりましょう。