高学年の担任です。発表に向けて合奏の練習をするように指導していますが,主体的に練習する子どもと全く練習しない子どもの差が大きく指導に困っています。
【答え】
先生も一緒に練習に取り組みましょう。
【なぜ】
子どもたちには,できるようになりたいという気持ちがあることは周知のとおりです。しかし,苦手なことや初めてのことには,なかなか進んで取り組むという勇気は出てきません。また,子どもたちに練習しなさいと指示するだけで,先生方は何もしないというのでは指導としてどうなのかなと疑問に感じます。たとえ高学年であっても子どもへの指導は同じではないでしょうか。
子どもはこの事態に対して教師がどれだけ真剣に取り組んでいるかを見ています。その姿勢からことの重要性や価値観を感じ取っているのです。子どもたちは,先生方が進んで熱心に取り組んでいると,大切なことだから自分たちもしなければと考え行動します。
最も重要なことは,その取り組みが楽しそうに見えることです。そうすると子どもたちも「楽しいそうだな。やってみようかな。」と自然に取り組み始めます。はじめは数人であってもその取り組みが毎日積み重ねられてくると,それまで練習に取り組まなかった子どもも「ちょっとやってみようかな。」と見に来ます。最初は遠くから見ているだけかもしれません。一緒にやってみようと声をかけてみましょう。
子どもにだけで練習しなさいと言うだけでは,指導にも支援にもならないのです。先生がその姿で大切なこと,少し大変でもやってみると楽しいことを示すこと。すると子どもは,いつもと違った形での先生との距離の近さを感じ喜んで取り組みます。
【方法】
曜日を決めて学年で順番にするなど工夫して取り組みます。特に初めのころは学年の先生全員が取り組む姿を見せることが,子どもの心を動かします。さまざまなことの中で時間を生み出すことは大変なことですが,今年度この取り組みを1月の一か月間6年生の担任の先生方が実践されました。6年担任の1月の多忙さは容易に想像できます。先生方の取り組みへの真剣さに頭が下がりました。
この取り組みから子ども変化のが見えました。これまで何事にも背を向け,「自分にはできないから」が口癖だった子どもが,学年としての活動もきちんとしながら,途中からでも休み時間の練習に飛び込んでくるなど,うれしい姿が多くの子どもに見えました。
先生が率先して動く,その姿は学年に関係なく子どもの主体的な取り組みに大きく影響していると実感しています。