写真の活用2:教室内に聴こえる声の大きさで話すことを指導していますが,なかなか言葉もはっきりせず,語尾も明確になりません。
【答え】
口形を写真に撮って,指導します。
【なぜ】
子どもは「開けているつもり」「一語ずつ変えているつもり」で,自分はできていると思っています。しかし,実際には口の開け方は小さく,特に縦に開けることへの意識はあまりありません。また,縦・横の開け方の違いなどにも気づかず,したがって正しい開け方や口形ではないので,発音は曖昧になります。にもかかわらず,なんとなく発音していても「はい,いいです」とそのままにしている場面を見かけ,疑問に感じています。
縦に開ける,横に開ける,一語ずつ口形が変わることへの気づきは大人でも気づきにくいものですが,口の開け方や口形は歌声にも大きく影響します。
まず,口を縦に開けると,遠くまで聞こえる声が出せるようになります。口の中が広がり,響きが生まれるからです。「大きい声で」と声をかけても口が縦に開けられていなければ,大きな声は出せないのです。強い声で怒鳴ることと,聞こえる声の大きさとは別です。また,口形を意識して発音すると,一語ずつがはっきり話せるようになります。みんなに聴こえる話声にもつながります。
正しい開け方や一語ずつの口形の違いを指導することは重要ですが,前述のように子どもは「できている」と思っています。
そこで,子どもが自分の口の開け方の違いに気づき,意識的に口を開けることができるように口の開け方を「見える化する」ことが大切なのです。歌うことが好きな高学年でも,写真や映像で自分の口の開け方を確認することがあります。学び始めた一年生だからこそ,「見えないこと」を「見えること」に変える指導の工夫が必要なのです。
【方法】
一人一人の母音の口形を写真に撮り「見える化」します。班ごとなど数名で写すと,お互いの口の開け方を比べることができるので開け方や大きさ,そして形がわかりやすくなります。