校外学習をしても学習に結びつかなくて悩んでいます。学習に結びつく視点を知りたいです。
【答え】
子どもは体験を通して実感します。子どもにとって「わかるとはどのようなことか。」見学の計画を見直します。
【なぜ】
次は6年生の事例ですが,考える視点として紹介します。見学を計画した先生と話し合いながら問題点を探りました。
見学先は神奈川県鎌倉市。源氏山に登り,鎌倉市内を見渡して学習してきたことを実感します。気づかせたいことは山が海に迫る鎌倉の地形の特徴です。そしてその地形を生かした,海からまっすぐに延びる道「段葛(だんかずら)」が八幡宮まで続くという地形と建造物とが関連した景色。これらを実際に見せることが見学の目的です。段葛と八幡宮との関係を簡単に紹介します。
段葛は,両側の道より一段高くなっていて真っ直ぐに八幡宮へと続いています。大鳥居をくぐり舞殿後ろの大階段へと道は進みます。舞殿後ろの本殿に続く大階段は段差が大きく,子どもの足で上るには少し苦労します。山が海に迫り平地が少ないため,おのずと急勾配になるからです。私たち大人は何度も歩いて地形や特徴を実感しています。
しかしこの見学の計画は,子どもたちは段葛を歩くこともなく,八幡宮では鳥居をくぐったものの舞殿の手前を右に折れ,その後源氏山に登るというコースでした。コース設定の理由は,段葛を歩いたり本殿への階段を上ったりしなくても,源氏山から見れば海から続く段葛が見え,海がすぐそこに迫ることも見えるので,子どもたちにもよくわかるとのことです。
ではその源氏山はというと...。山全体が木々に覆われ,周りの景色は時々木々の合間に見える程度です。実際にはそれらがよく見渡せる場所に行くと,大人は背が高く目線が上なので段葛や八幡宮の屋根が見えても,子どもの目線では木々や葉や草に視野を遮られ,見えません。段葛を歩いたり八幡宮をみたり,本殿まで大階段を上ったりしているわけではないので,段葛の長さも本殿との高低差も,想像だけで実感はないのです。しかも子どもは大人のように全体を俯瞰してみることは難しいのです。この計画では見学の目的を達成することはできません。
【方法】
子どもの実感とはどのようなことなのかを視点に考えます。
①子どもに実感させるには体験を通すこと。見学の意味を問い直し,計画を練り直す。
②子どもの目線を認識すること。子どもが見える範囲や見え方には違いがあることに気づくこと。
③子どもの視野は狭く,俯瞰して物を見る力がまだ十分ではないことを認識すること。
これらがポイントとなります。