友達関係や日常での出来事など,問題が生じると一人一人に話を聴くなど指導していますが,子ども同士の関係が安定していきません。自分の指導に自信がもてなくなってきました。
【答え】
次の二点について考えてみましょう。
一つは,指導の機を逃さず指導すること。「後」での指導では,子どもの心に届きません。
もう一つは,指導は学級全体の中で行うこと。取り出して指導することはできるだけ避けましょう。
内容によっては,一人一人から事情を聴く,指導をするなど配慮の必要な事案もありますが,子どもは子ども同士で育ちます。お互いの姿を見て,自分ならどうするか・どのようにしなければならないのかを考えることが共に育つ「教育・共育」と考えます。
【なぜ・方法】
子どもへの指導は,まず機を逃さず行うことが重要なカギとなります。機を逃さずとは,指導の瞬間を捉えて指導することです。学習を中断してでも,その場ですぐ指導することが重要です。
なぜなら,子どもの心をいやな思いや辛い思いをしたままにせず,できるだけ早く解決し,心のわだかまりを取り除くことが,教育の基盤だと考えるからです。子どもの心が常に安定しているように,指導・支援していくことが教師の仕事です。
また問題が生じた瞬間には,事実も感情も正確につかむことができます。しかし時間が経過すると記憶は曖昧になり,事情が不正確になります。問題も解決しないばかりか,子ども同士の心に不満や,しこりが残ります。問題が生じる前よりも,関係は悪化してしまいます。情報が正確につかめなければ,的確な指導は望めません。
ただし話を聴く場合,あまり突き詰めて聴くことは避けたいものです。子どもには,自分の思いを伝える力がまだ十分に育っていないので,「わからない」こともあります。子どもの様子をよく見て,配慮しながら聴きましょう。
さらに問題が起こったとき,それまでの成育過程で正しい判断や価値観で育てられている子どもは,これはいけないことだ,何か変だなと感じます。子どもがそのように感じているのに,教師がその問題を取り上げず指導をしないと,教師への不信を抱くことにつながります。
次に問題が生じたときには学級全体の問題として捉え,問題行動の子どももそれ以外の子どもも,共に同じ場で指導することが重要です。全ての子どもを育てることへとつながるからです。
なぜそのような行動をしたのかは,その子どもだけの問題もあれば,周りの子どもとの関係からとった行動の場合もあります。そのような行動の背景を考慮することなく,問題が生じた子どもだけを指導していたのでは,本来の「育てる」こととして十分とは言えません。
指導を要する子どもへの指導を学級全体で行うことで,他の子どもも共に考え,友達はなぜそのような行動をとったのか,友達への理解へとつながります。そして自分ならどのように行動するのか,子どもの価値観を育てます。