夏休み明けで,登校を渋る子どもも出てきます。保護者も悩んでいます。どのような指導が必要ですか。
【答え】
理由を考えてから,指導の方法を検討しましょう。
指導法だけを考えていると,子どもや保護者の思いとずれが生じ,その後の指導に影響します。「なぜ」を考え,理由に即した指導をすることは当然でありながら,見落とされていることに危機感を覚えます。
【なぜ】
登校を渋る理由は,多様に考えられます。理由はわからないが,何となく行きたくないということもあります。子どもは自分の状況をつかんで,そのことを的確に伝える力はありません。一概に休み癖がついているという,思い込みや憶測だけで指導することのないようにしましょう。
【方法】
子どもの表情や様子をよく観察することが大切です。話を聴くことも大切ですが,理由を追及するようなことは控えたいものです。かえって,登校を渋ることにつながりかねないからです。まず思い当たることを考えましょう。
先生のこと どのように思っているでしょう。嫌な感情をもつようなことを言ってはいないでしょうか。
友達のこと 仲良しの友達はいますか。逆にもめている友達はどうでしょう。友達に嫌なことを言われていませんでしたか。仲間外れになるようなことはありませんでしたか。隣の座席の友達とは,仲良くしていましたか。登下校での友達とは,楽しそうに話していたでしょうか。
給食のこと 好き嫌いなどの気がかりはありませんか。嫌いなものを無理に食べて嫌な思いを訴えていませんか。
持ち物のこと なくして言えない状態ではありませんか。
夏休みの宿題や作品は,完成しているでしょうか。
また,保護者との話し合いや連携も理由を考える上で重要です。休み中は何ともなくても,学校が始まるころになって,嫌だったことを思い出し,それを伝えることができない。または,無意識のうちに心にたまり,登校ができなくなることもあります。家庭でのつぶやきを聞いてみましょう。
さらに,夏休みを過ぎるころになると,子どもたちはグンと成長し,自己の成長と共に友達との関係にも変化が見られてきます。これまでは,自分のことしか目に入らず,何でも自分が最優先でした。しかし,この頃になると,友達関係での小さなことでも気にするなど,自分以外のことに気が向くようになってきます。ですから,これまで気にもとめなかった友達の一言が気になり,先生の対応にも敏感に反応するようになります。成長をよく把握し,全員が気持ちよく登校してくることができるよう,指導を考えたいものです。