☆コラム 手を挙げないのは,学習したくないから?
なぜ手を挙げないのでしょう。その理由を聴いてみました。
算数の足し算。計算して答えを聞かれた場合です。
○答えがわからない。
○答えはわかるが自信がない。
○間違えたらみんなに何か言われそうで心配。
○みんなの前でいうのが恥ずかしい。
○きいていなかったから,問題がわからない。
○手を挙げなくても,誰かが言うからなど
これは実例です。手を挙げなかった子どもの中には,こんなにさまざまな理由があります。ですから手を挙げないからといって,学習への意欲がないわけではありません。どの子どももわかるようになりたい,できるようになりたいと思って学習に取り組んでいるのです。わかっていても,答え以外の理由で手を挙げない子どももいるのです。わからないから学校に来ているのです。
もし,指名せずそのままにしておいたら,どうなるでしょう。
だんだん学習そのものへの関心が薄れ「手を挙げなくても,またAちゃんが応えるからいいや。」と学習への意欲も低下していくでしょう。
手を挙げないからとその子どもをそのままにしておくことは,どの子どもにも力のつく授業を目ざす,授業改善には繋がらないと思います。
また,手を挙げて指名する授業は,子どもの思考を妨げることもあります。
子どもは思いついたことをすぐに口にします。先生や友達の話を聴いて,気付き(思考し),呟きます。
ところが「何か言いたいときは手を挙げ,指名されたら応える」というルールの基では,しばしばこんな姿が見られます。
考えて気がつく→手を挙げる→指名される→「はい」と返事をする→椅子から立ち上がる⇒やっと応える段。ところが「あ,忘れちゃった!」
よく見る光景です。子どもは,特に入門期の子どもは,二つのことを同時にはできません。自分の気付きを発信するまでに何段階もの動作があったら,忘れるのは当然です。発言の形を指導することを否定しているのではありません。形から入る指導もあります。しかし,必ず形から離れるよう指導していきます。
大事なことは一人ひとりが自分の気づきを呟きや発言で発信することです。
どのような授業を目ざすのか,意識して指導を見直したいと考えます。