☆コラム 入門期にこそつけたい力「想像力」と「創造力」二つの「そうぞうりょく」
聴く力や考える力をつけるために,授業改善やカリキュラムマネージメントの重要さを考える日々です。
しかし,なかなか思うように力をつけることができない場合もあります。子どもはどのように聴いているのでしょうか。聴いているとは,どのような状態なのでしょうか。
以前,黙って座っている子どもは,聴いているようで実は何も聴いていなかったことや,音声だけを聞いていて声や音が聞こえていると「聴いている」と思っていることを書きました。
まさに,入門期の子どもは,話の内容を考えながら聴くこととは思っていないのではないかと考えます。ですから「一回しか言いませんよ」や「今なんて言った?」と聴く力をつける指導をしても,聴いて繰り返すことはできても,「考える」までには至らない子どももいるのです。
そこで,入門期には,さらに「聴くとはどのようなことなのか」そして「どのように聴くのか」を指導することが重要だと考えるのです。答えは二つの「そうぞうりょく」,「想像力」と「創造力」です。
例えば,『はなのみち』の読み聞かせをした後に,「出てきたのは誰かな」「何をしていたかな」と問いかけると,「くまさんとうさぎさんと...」「はちみつを食べていたよ」と応えますが,中には「?」と首をかしげる子どももいます。
「聴いていた?」と聞くと「聞いていた」と応えます。子どもは,何も考えずに音声だけを聞いて,声や音が聞こえていると「聴いている」と思っているのです。「聴く力」とは,「考えながら聴く」ことです。ですから,例えば,
・「誰がでてきているのかな」 <主人公>
・「何をしているのかな」 <動作や様子>
・「川かな,森かな」 <場所や情景>など,
話の内容を考えながら聴くことを指導する必要があるのです。
聴き方がわかると,「何のことかな」と「人」「物」「こと」を思い浮かべる「想像」,それはどのようなことか自分はどのように思うかを考える「創造」しながら聴くことを意識します。
具体的な指導として「想像する力」は,主人公や情景を「想像しながら聴くこと」を指導し,「絵を描かせる」とわかりやすくなります。例えば,くまの顔や大きさ,色は一人一人違います。くまさんが描かれていればよいのです。
「創造する力」は,やさしいくまさんなのか,強いくまさんなのかを問いながら,自分の思いをもたせ描かせます。顔の表情を工夫したり,色の濃さを工夫したりして描く,これが「創造する力」です。
入門期の子どもの思考の特徴を想像し,子どもたちに適する指導を創造することが大切だと考えます。