☆コラム 気づいていても,ついそのままにしていませんか。子どもの困り感は一人一人違うということを。
子どもにとって初めてのことや経験の少ない作業は,一人一人支援して丁寧に指導することが重要です。なぜなら,子どもが先生に求めていることは,僕の・私の「できないところはここなの」をわかってもらいたい。「ここ」が指導の出発点だからです。一人一人指導の出発点は違うということを理解することが重要なのです。ここを見逃して指導の方法ばかりに目を向けていると,失敗します。「できない」の理由は一人一人全く違うからなのです。
例えば折り紙。先生の説明は理解できたが,紙の折り方がわからないとき子どもは何を思うのか?
「先生。紙の裏と表どっちが上なの? 紙はどっちが表?」なんて大人には想像もつかない時点で困っているのです。単に作業の経験がないだけのことなのに,先生は何回も「話を聞いていなかったからでしょ。いつもそうなんだから。」と,さっきの話をまた繰り返します。「僕の気持ちわかってないよね。もうそのことは,わかってるって。」にもかかわらず先生は,次の作業の仕方については「紙を折ったら上向きに置きます。」とさらっと。「え,そこがわからないんだって。どうしよう。できないよ。」このような子どもの心のつぶやき聴こえていますか。
子どもは自分の困り感を理解しそのうえで,自分にぴったりの支援を望んでいるのです。いわば教育は「オーダーメイド」。マニュアル通りの既製品ではないのです。
学年が進むと困り感を言葉にして伝えてくることもありますが,低学年では言葉にできないどころかこの思いが無意識な場合が多いのです。ですから「オーダーメイド」を意識して困り感に気づくことが指導における重要なポイントとなるのです。
自分の「できない」を「わかってくれる人」。そこが,教師との信頼関係の起点となります。
信頼関係ができてくると,子どもは安心して,困り感をもつことを恐れなくなり主体的に物事に取り組むようになります。
小さなことを侮ることなく丁寧な指導を惜しまないこと。それが教師としての力量と考えるのです。