「整理と整頓」といっても,物があふれて片づきません。子どもに整理・整頓ができますか。
【答え】
子どもにもできます。子どもだからこそ育てたい力です。整理と整頓の意味の違いを指導しましょう。整理は,「捨てること」。整頓は,「取り出しやすく,片づけやすく整えること」です。
【なぜ】
子どもは見かけをきれいに並べると,これで整理・整頓ができたと思い込んでいます。また,全く並べることもできない子どももいます。どのような状態が整理整頓された状態なのかを見せることが,指導のはじめです。子どもは,その状態を知りません。まずは,きちんと整理・整頓された状態の心地よさを味わわせながら,整理・整頓の意味を指導しましょう。
また,子どもにとっての整理・整頓ができる量を決めることが大切です。物があふれてくるのは,いるものかいらないものかの判断ができず,捨てることができないからです。大人から見ると「?」と思うものでも子どもから見ると宝物。子どもの特長とも言えることです。いるものといらないものの判断は大人でも難しいものですが,使ったものは捨てることを中心に指導しましょう。
【方法】
一度使ったらもう使えないものと,繰り返し使えるものとを指導します。学校では身のまわりにたくさんの紙類があります。ティッシュは,鼻をかむ,鉛筆の削りかすを包むなど,多様な使い方ができます。「使ったら捨てる」を指導しましょう。もちろん,できるだけ使わないことも指導しましょう。
持ち物の量も整理整頓に大きく影響します。例えば折り紙。もち数を決め,使ったものは持ち帰るなど「決めた枚数を増やさないこと」を指導します。色鉛筆も同様です。多色のものは,本数が多いため落とす,なくすだけでなく,箱も大きく机の中に入りにくいなど,子どもが自分で管理することが難しい。基本的な色を決めて本数を少なくすることも有効な方法です。
また,クレヨンなど蓋のあるものはそのまましまっておくと,蓋が開いて中身がばらばらになることも多々あります。掃除中にクレヨンが一本,二本と落ちていることは珍しくありません。そこで,蓋のあるものには,幅広のゴムなどでバンドをつけると蓋が開くことはありません。
このように,整理整頓は,子どもの能力を考えて量を決める,入れ方を決める,なくならない工夫をするなど,「できなくて当たり前」を意識して指導に取り組みましょう。