学習用具の使い方は,「何を」「どのように」指導すればよいのでしょうか。
【答え】
はじめに学習に必要な用具の名前や本数,使い方やその意味を指導しましょう。約束を決め,管理できる量を持つ習慣をつけましょう。教師は「初めて手にする学習用具」という認識をもって指導しましょう。
【なぜ】
例えば,下敷きを使わずに紙に文字を書くと,紙に筆圧がかかり紙の裏に筆圧の跡がついてしまい,文字が読みにくくなります。文字をはっきり正しく書くために,下敷きを使うことが必要なのです。正しく書くことができると書くことが楽しくなります。
このように学習用具には,使い方やその意味がありますが子どもはもちろん何も知らない
のです。「これを知っていますか」と問いかけると,子どもは必ず「知っている」と応えます。教師は,使い方を知っていますかと問いかけているつもりでも,子どもは,見たことがあるだけで自分は使ったことがなくても「知っている」と応えるのです。それが子どもです。
入門期に学習用具の使い方やその意味を学んでおくことは,これからの学習を楽しく力のつくものにしていくことにつながると考えます。
【方法】
筆箱は,その年により流行がありますが,基本的に薄く軽く落としても壊れない素材のものを薦めましょう。具体的に示してその理由を伝えて望ましい素材として紹介しましょう。中身は,鉛筆5本(はじめは芯を折ってしまうことが多いので),消しゴム1個(転がらない形で紙に当たる面が広めのもの),油性ペン1本(名前を書くことに使います)赤鉛筆1本です。
鉛筆の濃さはB程度の柔らかさが,紙をすべるように書くことができます。力を入れなくても書ける芯の柔らかさが必要です。また,短くなってきたからといって,大人が使うようなキャップは,子どもの指や手には持ちづらいものです。消しゴムは,必要に応じて使わせますが,基本的には,消しゴムを使わないで書くことの習慣をつけると,字を書くときに丁寧に書こうとする意識が芽生えます。片手で紙を押さえ,もう一方の手で消しゴムを上下に動かして消すことを指導しましょう。
「こんなことぐらいは知っている」と大人が思うことを子どもは意外と知りません。大人のやり方を見よう見まねで消しているだけで,紙の押さえ方がうまくできず,紙を破ってしまうなど苦戦していることが多々あります。
学習用具は,発達段階によって適する用具に違いがあります。手の大きさや力の加減,使う頻度,そして管理のしやすさなど,一人一人の定着状況を見ながら継続的に指導することが大切です。