ロッカーや靴箱の場所を決めます。どのように指導したらよいでしょうか。
【答え】
まず,子どもたちどおしで選ばせてみましょう。
背の高さを考え,互いに譲り合うなど,どこに入れるのかを協力して決めさせることを通して,受容・共感の友達関係を築くことができます。
【なぜ】
入学式の準備等で,事前に教師が靴箱やロッカーに子どもたちの名前をつけている姿を見かけ,残念に思うことがあります。なぜなら毎日使う自分の靴箱やロッカー,「自分のことは自分でする」自分の場所を選ぶことや決める活動は,学校生活における自立を促す一歩になるからです。
また,どこに入れるのかを子どもたちどうしで考え合うことで,人間関係も育みます。靴箱やロッカーは,子どもの背丈により使い勝手が違います。自分にとって必要なことを友達に伝えたり,困っている友達に声をかけたりなど,子どもどうしの関わりが生まれます。子どもたちだけに任せることには不安を感じますが,集団の中には,必ずリーダー性を発揮する子どもがいます。必要な指導は必ずしますが,子どもは子どもどうしで育ちます。子どもの力で解決できる場面は,様子を見ながら見逃さずに活用し,子どものもっている力を伸ばしてやりましょう。
【方法】
早い者勝ちなど,力関係で解決することのないよう事前の指導が大切です。
選び方のルールを事前に話し合い,決めておきます。自分の背の高さを考え,無理なく届くところに自分の場所を決めるなど,具体的に決めておきましょう。ただし,あまり細かいところまで決める必要はありません。なぜなら,行動しながら,困ったときに考えることも大切にしたいからです。入門期の子どもは,想像するなど抽象的な思考をすることはできません。行動や体験を伴うことで思考が具体化します。ですから,具体的な場面に向き合うことで,初めてルールの大切さや,ルールの中身に対する考えがもてるようになるのです。
ルールに沿って決めていく際にうまく調整できないときは,教師が支援しましょう。お互いの立場や言い分を公平に捉え,具体的に説明するなど,理解し合えるように支援します。
そして,調整した後は,「ここでいいのね」と必ず子どもが納得しているのかを見取りましょう。