トイレに行くよう声をかけると,全員が一度に行ってしまい大騒ぎになってしまいます。よい方法はありますか。
【答え】
トイレに行くことを通して,「順番を守ること」の意味を指導しましょう。並んでいる列やグループごとに行くよう声をかけ,「順番の意識」を育てましょう。
また,前のグループの子どもが半分ぐらい戻ってきたら,次のグループが行くなど「トイレの行き方の約束」を子どもと一緒につくりましょう。もちろん慣れるまでは教師が,リードします。
【なぜ】
「はいトイレに行って」と声をかけただけでは,指導として十分とはいえません。集団で生活していくには,「約束」があることを機会ごとに指導していきます。
「順番」の意識を育てましょう。こんな姿を見かけたことがありませんか。教師が他の子どもと話しているときに割り込み,自分に目を向けなければ手で制したり,声を大きくして自己主張したりする子どもの姿です。
入門期の子どもは,常に自分だけに目を向け,声をかけて欲しいと思い込んでいます。常に「自分がいちばん先」なのです。順番を守ることは,自分も友達も大切にする心を育てます。自分が言いたいことがあっても,一つ話したら友達と交代する,自分の番が来るまで待つなど,この時期にしっかり育てたい力です。
トイレに行くことは,どの子どもにも関係することで,トイレに行くことの行為を共有することで,互いを大切に思う気持ちが育つのです。子どもの心を育てることは,こんな日常のさもないことに存在しています。
「どこに,どのような指導が隠れているのか」を見つける感性が,教師に必要な力なのです。経験することによりわかってくることもありますが,初任者の教師であってもこの力はつきます。子ども一人一人を大切に思い,どの子どもにも同じように愛情をもって接して育てていこうと意識して指導に当たれば,おのずと隠れた指導すべき内容は見えてくると考えます。
【方法】
列ごとに行くなど,トイレの許容量と一度に指導できる人数とを考慮して,人数を決めましょう。どの子どもにも順番が平均化するよう,順番を変える配慮も必要です。つい,いつも同じ方向から行かせるなど,順番が固定化していませんか。教師はどの子どもも同じように大切に思っているつもりなのに,こんな順番一つでも,子どもは不信を感じ,教師から離れていきます。曜日などで順番を決めるなど,教師の平等感覚が,子どもとの信頼関係を築くのだということを意識して指導しましょう。