手紙を配布しても,すぐに落としたり,忘れたりして保護者にうまく届きません。確実に持たせる工夫が知りたいです。
【答え】
大切な手紙であることの認識をもたせましょう。そのためには,
(1)段階をふんだ配布の仕方を工夫しましょう。
(2)手紙の中身が見える折り方と,折るコツを指導しましょう。
(3)名前が書けるようになってきたら,手紙の余白に記名させ「自分のもの」という意識を育てましょう。
【なぜ】
子どもにとって,紙の配布物はどれも同じ「紙」なのです。重要かどうかの認識はもてません。字もよく読めないのですから当然です。また,誰もが持っているものに対し,「自分だけの物」という認識ももちにくいものです。更に,プリントのような薄い紙は,小さい手からすぐ滑り落ち,机の上から行方不明になります。床に落ちたプリントは,もはや自分の物ではなくなります。手紙は「入門期の子どもにとって扱いにくいもの」という認識をもって指導に当たりましょう。
【方法】
配布の仕方の段階をふんで育てましょう。入学直後は,教師が一人一人の連絡袋など手紙入れに入れ,すぐ蓋をさせましょう。少し慣れてきたら,手紙の折り方を指導します。文字が印刷されている面が表になるように折ります。文字が見えていると,子どもにも保護者の方にも「手紙」であることがわかりやすいからです。うまく折ることのできない子どもには,端を重ねることや折り目を手で押さえることを教えましょう。はじめはうまくいかなくてもよいのです。「手紙の意識」をもてるようにすることが第一段階です。
また,手紙を折る前に,入れる袋が机の上に置いてあるかを確認しましょう。手紙を折った後で袋を探すと,落としたりして,なくしてしまうことがあります。
更に慣れてきたら,座っている列ごとに手紙を配布し,前から順に一枚ずつとって,後ろに渡すことを指導します。更に,自分の名前が鉛筆で書けるようになってきたら,手紙の上の余白に自分の名前を書くようにします。「自分への手紙」という意識が高まります。
配布物の実物を黒板に掲示すると,何が配られたのか,後ろの席の子どもにもわかりやすくなります。特に複数の配布物があるときには,番号をつけて掲示します。番号と配布物とを対応させながら確認しておくと,もらい忘れを防ぐことができます。