休み時間になると,勢いよく教室から飛び出していきます。次の時間が始まるときになってトイレに行く,教科書やノートを探すなど,すぐには授業が始められません。どのような指導が抜けてしまったのでしょうか。
【答え】
「次の学習の準備をしてから遊びを始める。」約束を作りましょう。
準備ができているか確認してから遊んでよいことにします。初めのうちは教師が確認し,定着してきたらグループでお互いに確認し合うなど,子どもたちどうしでできるようにします。生活を自分たちでつくる意識を育てます。
「一つの動きは次へつながる。」の意味を指導しましょう。
【なぜ】
一つのことが終わったら,次に使うために片付ける。次のことがすぐ始められるように準備をする。このことは家庭教育だから,そのうち自分でできるはずだからと指導の機会を見逃していると,子どもは片付けや準備をしない,楽な生活の仕方へと向かってしまいます。しかし片付けや準備の意味,その必要性とその方法を学ぶことは,自分の生活を自分でつくる意識や習慣,そして力を育てます。
入門期の子どもには,こんなことがと思えるような些細な日常生活での学びが,学習への気づきや考える習慣につながります。どのように片付けると早く適切にできるのか,なぜ次の学習の用意をしておくとよいのか。その意味と方法を指導しましょう。
「同じことを何度でも繰り返し指導すること」が入門期での重要な指導法です。
【方法】
指導のポイントは二つです。
一つは,本当にそろえてあるのかを一人一人確認することです。約束はつくってもなかなか定着しないのは,確認が十分でない場合があります。
教師に確認されることで,準備の習慣を確実化させます。と同時に,足りないものがあれば学習を始める前に他のもので補うなど支援できます。
もう一つは,「班や列の全員ができたら遊びに行かれる」約束づくりです。個々に教師が確認しているだけでは,いつまでも教師対子どもの関係に終始してしまいます。育てるのは,子どもどうしで互いに学び合い育つことです。班や列の友達どうしで声を掛け合う,助け合うなど片付けや準備を通して約束を守る,よい習慣を身につけることを共に学び合います。
ただし準備が遅くなった友達を責めるような言動は,厳に指導し友達を思いやることや,協力する大切さを重視して指導しましょう。