「どこに」「何並び」と場所や並び方を指示すると,一応その場に集まってはきますが,おしゃべりしていていつまでも並ぶことができません。
【答え】
「止まる」を指導しましょう。
【なぜ】
同学年の先生から「きちんと並べてください」と声をかけられた隣のクラスの先生。「うちのクラスはちゃんと並べています」と憤慨しています。見ると,確かになんとなく二列になっているように見えますが,隣同士は誰なのか曖昧で,途中からは隣に並ぶはずの相手がずれています。列全体は当然のように,蛇行しています。子どもたちはずっと話し続けていて人数の確認すらできていません。「並ぶ」ことに対する感覚の違いがあるからです。
並ぶとはどのような状態でしょう。例えば背の高さの順に二列に並びます。その状態は,先頭から一番後ろまでまっすぐな列になっています。そして全員が「静止」しています。特に頭を動かさない。もちろん長時間動かないわけではありません。「そろう」瞬間が重要なのです。それが「静止」なのです。そして,静止の瞬間に話もやめます。「並んで何かをする空気」ができるからです。
このように「並ぶ」ことへの感覚のずれが,全体の指導のずれに結びついてしまいます。
【方法】
並ぶことには,それぞれ目的があります。運動会での開会式を行うため,避難の際の人数確認のため,廊下を歩くためなど,さまざまな目的があります。しかし,どれにも共通することは,できるだけ早く子どもたちを掌握するためです。
そのためには,二列なら横の二人がそろう,ずれなく並ぶ状態が必要なのです。運動会では体育的な集団の美を求めることもありますが,入門期ではそれができるための発達も十分ではなく必要ないでしょう。高学年が並ぶ姿を見て憧れをもち,発達段階に即して整然と並ぶことができるようになればよいと考えます。
入門期での並ぶ指導では,お友達がみんないるかを確かめるために並ぶという意識を育てます。横にいる友達とずれないように並び「止まる」を指導しましょう。