小学校入門期,最初に何を指導すればよいですか。
【答え】
呼ばれたら「はい」と,返事をすることを指導しましょう。子どもと教師との信頼の一歩を育みます。
【なぜ】
声の大きさや,手の挙げ方が問題なのではありません。新しい集団の中で自分の存在を示すことが目的なのです。「はい」と声を出すこと,返事をすることはいちばん身近な行動であり立派な自己表現です。その返事を受け止めることは,「はい,わかりましたよ」と子どもを受け止める行為です。この行き来が人間関係を育みます。まず,入学式で保護者の方々に示しましょう。返事がうまくできない子どもも全員の前で,褒めましょう。
【方法】
一人一人の子どもの顔を見て,目を合わせて名前を呼びます。始める前に一人一人名前を呼ぶことと,呼ばれたら「はい」と短く元気よく返事をすることを知らせておきましょう。
もちろん,その通りにできなくてもよいのです。どのようにすることがよいのかを先に示すことで,よい返事の仕方の指導にもなります。また,保護者は「きちんと教えてくれる先生」だと安心します。幼稚園等入学前の経験により,声の大きさなど返事の仕方には違いがあります。上手に返事ができた子どもには,「いいですね」「素晴らしいです」と声をかけますね。
しかし,うまく返事ができない子どもには,つい「もう少し大きい声で返事をしましょう」などと言っていませんか。子どもはとても緊張しています。初めての集団。自分の親や知らない大人に囲まれ,緊張の糸はいっぱいに張り詰めています。後日徐々に指導していけばよいのです。ここでは,「大丈夫よ」という気持ちが伝わるように,教師は笑顔でうなずくなど,その子どもの行為を認める,受け止める姿を見せましょう。子どもは,失敗しても温かく受け止めてくれる教師に安心します。
保護者の方も,子ども以上に緊張しています。「うまく返事ができないのでは」と,心配しています。しかし,教師が笑顔でわが子を受け止める姿に「この先生なら,大丈夫」と信頼を感じ始めます。