入門期特有の指導が必要だと考えますが,指導することが多すぎて,どのように進めたらよいかわかりません。
【答え】
「いつ」「何を」「どのように」指導するのか。指導の内容や指導の時期を整理します。できれば一覧表など見る形にしておくと,見通しがもて,指導にゆとりが生まれます。
【なぜ】
入門期の指導は,生活面と学習面との指導内容が重なっていることが多くあります。例えば「座って話を聴くこと」は,一見生活習慣の内容に思えますが,座ることで集中して聴くのだということに気づかせながら,話を聴く力をつけます。ですから,指導する内容を生活習慣と学習とに分けて考えるのではなく,入門期の子どもに「どのような力をつけたいのか」を核にして指導内容を決めることが重要だと考えます。
また,指導の時期は5月の連休前までには,後述項目を習慣化できるのが望ましいのですが,子どもの実態にもよります。4月から7月までを重点的に指導する時期と考えてもよいでしょう。
【方法】
指導の内容例です。なぜ指導が必要なのか,その理由や方法などの具体的な内容は,Step by Step の前掲の項に掲載しています。先生方ご自身が指導を考える参考になれば嬉しいです。
○「はいと返事をする」初めての集団での,大切な自己表出です。
○「並び方」先生にとっての危機管理,子どもたち同士の交流のために
○「トイレの行き方」決まった時間に順番に。集団生活での約束を学びます。
○「トイレの使い方」学校の便器は和式が主です。具体的に使い方を指導します。
トイレを我慢して失敗してしまう子どももいます。登校を渋る原因になることもありますので,侮らずに取り組みましょう。
○「机の中の学習用具の入れ方」
教科書(ノート)と筆箱やクレパスなど,その他の学習用具とを分けるなど毎日持ち返るものと常時おいておくものとを分けて入れます。「どこに」「何を入れるか」具体的な指導が忘れ物を防ぎます。
○「ランドセルの入れ方」取り出しやすく,安全な入れ方とは。ロッカーの使い方を具体的に指導します。
○「連絡帳の見せ方」記入したページを開いて入れることを保護者の方にお願いしておきます。
○「手紙の持たせ方」内容が書いてある面が見える折り方を指導します。
○「持ってきた連絡帳や書類の提出の仕方」
「何を」「どこに置くのか」提出物ごとに置く場所を決めておきます。
どの指導内容も繰り返し指導することが入門期の指導での重要なカギとなります。子どもたちの実態をよく観察しながら「初めてのこと」と意識して,丁寧に指導に取り組みましょう。