眼龍義治先生の和楽器講座
1.楽器について
2.箏の歴史
3.調弦
4.楽譜
5.演奏の準備
6.基本的な奏法
7.演奏さあ弾いてみよう!
8.箏 エトセトラ
第2回三味線
第3回和太鼓
第4回篠笛
第5回尺八
第6回合奏を楽しもう
第1回 箏 - 親しみやすい楽器 -
演奏 さあ弾いてみよう!
器楽教科書などを参照して,親指の使い方を確認しながら「さくらさくら」の旋律を弾いてみましょう。

「合せ爪」と「分かち爪」

旋法(五音音階)で調弦してある箏の場合は,常に5本上の弦が1オクターブ上の音になります。
それを親指と中指で同時に弾くと「合せ爪」になり,中指と親指を交互に弾くと「分かち爪」になります。
特に分かち爪は箏独特の表現法であり,とてもきれいな演奏ができます。


押し手


調弦にない音を必要とする場合や,転調等の場合「押し手」によって音を作ることができます。
左手の人さし指と中指をそろえ,親指を十分に広げます。左手の親指を押すべき弦の柱の,左側数cmのところに置き,人さし指と中指でしっかり押さえ込みます。
この時親指には力を入れないよう気をつけて下さい。
親指に力が入ると柱が倒れやすくなります。
押す力加減は弦の張り具合によって異なりますので,半音,全音と押してみて感触をつかんでおくと良いでしょう。



その他の技法

■スクイ爪

親指で弾いた弦を今度は下から上に向かって爪の裏ですくい上げるように弾くのがスクイ爪です。
あまり力を入れすぎると爪が外れやすくなりますから,手首の力を抜いて軽く弾くとよいでしょう。


トレモロ

人差し指(2)の爪の角で弦を素早くかき鳴らします。
この時親指を人差し指に付けると指が安定し,弾きやすくなります。
爪で弦を切るような感じで弾くとよろしいでしょう。また,あまり力を入れすぎないように気をつけ,腕や手首が十分に脱力しているときれいに弾けます。


ピチカート
爪ではなく指で弦をハジイテ弾くのをピチカートといいます。
右手の場合は薬指(4)を用います。左手で弾く場合はどの指でも可能です。
場合によっては右手の小指も使うことがあります。


かき爪 と わり爪
隣り合った2本の弦を,中指(3)で同時に弾くのが「かき爪」です。同じように隣り合った2本の弦を,人差し指(2)中指(3)の順番で連続して弾くのを「わり爪」といいます。
共に箏の古典的な技法であり,しかも他の楽器ではあまりみられない表現法ですから,いかにも箏らしい演奏法ということができると思います。

■スタッカート

これは洋楽のスタッカートと同じです。
箏の場合は弾いた後素早く手のひらや指で弦を押さえて振動を止めます。
時と場合により左右の手を使い分けています。


音色の変え方
箏は弾く位置によって,簡単に音色を変えることができます。
普通は竜角の左側3cmくらいのところで弾きますが,竜角から離れるに従って音色が柔らかくなります。
弦の中央部より左になると,あまり良い音ではなくなります。いろいろな位置で弾いて確認してみて下さい。
特に合奏の場合はこの音色の違いを活用し,パートごとのバランスを考慮するときれいなアンサンブルができます。



調弦を変えてみると・・・!?

■民謡調子
調子の名称にはいろいろな言い方がありますが,主に民謡に使われる旋法(陽旋法)なので民謡調子という名称が一般的です。

■長音階
先にも述べましたが,箏はどのような調弦でも可能ですが長音階の例をあげてみましょう。
ただし,洋楽の音階の曲を箏で演奏すると,曲によっては弦を跳ばすことが多くなりますから演奏は難しくなります。