眼龍義治先生の和楽器講座
第2回三味線
1.楽器について
2.三味線の歴史
3.調弦
4.楽譜
5.演奏の準備
6.基本的な奏法
7.演奏さあ弾いてみよう!
8.三味線エトセトラ
第3回和太鼓
第4回篠笛
第5回尺八
第6回合奏を楽しもう
         
  三味線の材料  
楽器についてTOP 三味線ができるまでへ
         
  ・胴は花梨の木,棹は紅木・紫檀・花梨で作られ,いずれも輸入材です。インド,タイ等の原産です。

・皮は猫を最良とし,犬がそれに次ぎます。最近は良質の皮の入手が困難で,カンガルーの皮や合成皮革も使われるようになっています。

・弦は絹糸を特殊加工した物です。

・撥と駒は象牙,鼈甲,プラスチック等が使われています。太棹の駒は竹を使うこともあります。

・根緒(弦を止める飾り紐)には絹糸が使われています。

・上駒,糸巻を固定する部分の座金(ざがね)には,金または合金が使われています。

・胴掛けには紙,布,皮等が使われます。

・指掛けには羊毛が使われます。
 
   
   
   
   
   
   
   
         
  ※ 三味線は邦楽を代表するともいえる楽器ですが,材料は絹糸を除くとその殆どが輸入資材で成り立っています。その点も意外に思われる不思議な楽器です。  
         
  三味線ができるまで  
楽器についてTOP 三味線の材料へ
         
  胴は花梨を使い,4面別々に加工し,膠で張り合わせます。胴は木目が美しく出るよう,原木の外側が胴の外側になるように加工されます。また,内側には綾杉と言う波型の切込みを入れます。

  棹は「延棹」(一本でできている)と「継棹」に分けられます。今日では三つ折れ(3本をつなぐ)が一般的です。胴に近い方から下棹,中棹,上棹と言い,一本の木から切り分けて作られます。各部分は特殊なホゾ組みによってつなぎ合わせますが,このような構造の楽器は世界的にみても他に類を見ないと思います。なお,原木の芯の部分が一の弦,外側の部分が三の弦になるよう配慮されます。それは三の弦が使用頻度が高いため擦り減りが激しく,木目の詰った堅い部分を当てるからです。なお,棹は砥石(普通は2種)で磨き,最後に椿油で仕上げます。塗料等は一切使いません。  
         
         
  上棹には「天神」(糸巻きのある部分)が接続され,座金を組込み,「糸巻」を差し込みます。下棹には「中子(なかご)」(胴につながる部分)が接続され,中子は胴の中を貫通して胴と棹をしっかり固定します。
  皮については,猫は腹側を,犬は背中側を使い,脂肪やアクを十分に抜いて伸ばし,特殊な工具を用いて破ける一歩手前まで,パンパンに張ります。接着剤はもち米の糊を用い,合成接着剤は使いません。  
         
  弦,撥,駒,根緒,指掛け等はそれぞれ専門の業者が作ります。
     
  ※ 普通は殆どの部分の製作が専門化されており,全体を一人の職人が仕上げることは一般的にはありません。