第3回 AIってどのように使われているの?!
みなさんは、AIがどんなところで使われているか知っていますか?スマートフォンの中だけでなく、お店や駅、病院など、社会のいろいろな場所でAIは静かに動いています。
今回は、AIがどんなふうに使われているのかを見ながら、AIが広がる社会で、人間にとってどんな学びが大切かを考えてみましょう。
日々の暮らしの中で使われるAI
AIは、私たちの日々の暮らしの中で使われています。
たとえば、英語の文を日本語にしたり、日本語を英語にしたりできるアプリがあります。別のアプリでは、音声アシスタントに「明日の天気は?」と話しかけると、答えを表示したり音声で答えたりするものもあります。さらに、写真を扱うアプリでは、たくさんの写真の中から同じ人物の顔を見つけて整理してくれます。
こうしたAIは、人間の行動や言葉の使われ方など、過去のデータをもとにもっともらしい答えを出しています。たとえば、「天気に関する言葉が出たら天気を調べる」「よく使うアプリを優先的に表示する」といったように、過去のパターンから次に起こりそうなことを予測して動いています。
でも、それが本当に正しいとは限りません。AIは、正しさよりも「すぐにそれらしく見える答えを出すこと」が得意だからです。だからこそ、使っている私たちが「おかしいな」と思ったときに立ち止まり、本当に正しいかどうかを考えることが大切です。
AIは便利ですが、上手に使いこなすには自分で考える力が必要です。わからないことをすぐAIに聞くのではなく、まず自分で考えてから確かめる。そんな使い方が、AIと上手につきあう第一歩になります。
考えてみよう!
自分がふだん使っているアプリやサービスの中で、AIが使われているものを三つ見つけてみよう。
「何をしてくれる?」「どんなときにまちがえる?」を話し合ってみよう。
社会を支えるAI
私たちがふだん気づかないところでも、AIは社会のさまざまな場面で使われています。
たとえば、電車ではAIがダイヤの乱れや混雑を分析して、安全な運行に役立っています。病院では、AIがレントゲンやMRI画像を読み取り、お医者さんが気づきにくい異常を見つける手助けをします。防災の分野では、地震や大雨のデータを分析し、避難情報を出すタイミングを支えています。また、農業では作物の育ち方をAIが分析して、「もうすぐ収穫だよ」と知らせてくれることもあります。
こうしたAIが社会の中で安全に使われるためには、それを設計し、確認し、改良を続ける人間の努力があります。AIは人間の仕事をうばうものではなく、人間の暮らしや活動を支える技術として活用されています。
比べてみよう!
「暮らしの中で使われるAI」と「社会を支えるAI」では、どんなちがいがあるかな?
まちがえたとき、影響が大きいのはどちらだろう?
学びや表現を広げるAI
AIは学びや表現の世界でも使われています。
学校では、AIが一人一人の得意・苦手に対応して、実力に見合った問題を選んでくれる学習ドリルがあります。図書館では、AIが本を自動で分類したり、探したい本を提示するお手伝いをしています。音楽やアートの分野では、AIが作曲やデザインのアイデアを提案することもあります。
でも大切なのは、「AIが考えてくれる」ではなく、「AIの出した提案について考える」という姿勢です。AIの出したアイデアをどう使うか、何を大切にするかを決めるのは人間です。AIがあるからこそ、自分の考えや表現をより広げることができるのです。AIにまかせるのではなく、AIの出した結果を手がかりに、自分の考えを深めていくことが、新しい学びや創造につながります。
やってみよう!
AIを使って音楽や絵をつくる、アプリを探してみよう。
「AIのアイデア」と「自分のアイデア」をどう組み合わせる?
未来のAIとあなた
AIをつくるのは、エンジニア(技術者)だけではありません。医療AIを考えるお医者さん、防災AIを使う科学者、AIの使い方のルールを決める法律の専門家、そしてAIを学びに使う先生やデザイナー。いろいろな人が力を合わせて、AIを支えています。
音楽が好きな人は、AIを使って曲を作ったり、演奏を工夫したりできます。動物が好きな人は、AIを使って野生動物の行動を観察したり、守る方法を考えたりできます。絵を描くのが好きなら、AIを使って作品をつくることもできます。
AIを上手に使うには、数学やプログラミングだけでなく、歴史や言葉、文化を理解する力も大切です。いろいろなことを学ぶほど、AIの使い方の幅も広がります。
AIは、使う人間しだいで世界を変える技術です。みなさんの「好き」と「ふしぎ」が、未来のAIを生み出す力になるのです。
おわりに:人間の知恵と想像力は欠かせない
AIは、私たちの身近なところでも、社会の中でも使われています。そして、人間の活動を支え、社会をより安全で豊かにするために活用される技術です。
けれど、どんなにAIが進んでも、人間の知恵や想像力は欠かせません。AIを使うだけでなく、どうすればみんなが安心して使えるかを考えること。それが、これからの時代に生きる私たちに求められる力です。
次回は、AIを使うときに気をつけたい「安全」について考えてみましょう。

|
もっと知りたい人におすすめ! 『AIの時代を生きる:未来をデザインする創造力と共感力』(岩波ジュニア新書) 『AIの世界へようこそ:未来を変えるあなたへ』(Gakken) |




