3.何度指導しても文字が乱雑な子ども
文字が乱雑な原因を考えてみましょう。
文字を丁寧に書けない子どもの実態では「落ち着きがない子どもだから」と言われる例もありますが,それが子どもです。また,中には早く書けることがいいことと思い込んでいて,誰よりも早く書こうと書けた途端に「書けた!」と大きな声を上げる子どもも少なくありません。
文字は他の人に自分の思いを伝える大切な手段であり,書いている内容と共に文字の丁寧さがその人となりを伝えることになること。一年生だからこそ指導していきたいものです。
(1) 鉛筆の持ち方が誤っている(前項を参照してください)。
(2) 書き順が曖昧になっている(漢字)。
(3) きちんと書いているつもりになっている。
(4) 書ける文字の大きさと書くスペースがあっていない。
(1) は前項を参照してください
(2) の子どもには,文字の縦と横の線を捉えて書けるように支援します。文字の認識が十分でなく,文字の形がよく理解できていないことがあります。縦と横の線をきちんと書くと文字の形も決まってきます。止めや払いも重要ですが段階を踏みながら進めましょう。
(3) の子どもは,文字が書けることを楽しんでいる姿と考えて書いていることを認めましょう。そのうえで「文字を正しく書くとは他の人に伝わる文字で書くこと」であることを指導します。丁寧に書く意識をもたせるために,「書き直しをしない・消しゴムを使わない」約束をつくります。手本からはみ出さないようになぞる,自分で書く。どの場合にも正しく書くこと。間違えても書き直しができないことを継続して支援し丁寧に書こうとする習慣をつけます。
(4) の子どもには,いろいろな大きさのマス目の用紙を用意しましょう。文字の大きさは人によって違いがあります。ましてや文字を書き始めたばかりの子どもには,まだ,小さなマス目の中に文字を入れ込むことや文字の大きさをそろえて書くことは難しいのです。いろいろな大きさのマス目の用紙を用意し,子どもに選ばせたり先生が薦めたりして書かせてみましょう。ノートに書く指導をしていると思いますが,一年生のうちに書ける楽しさを存分に味あわせてあげることが今後の力となります。子どもの実態に即した工夫をします。