手を挙げる子どもが限られてきて,つい同じ子どもばかり指名してしまい,学習が全体に広がりません。
【答え】
全員が学習者です。挙手する子どもだけにこだわらず,挙手していない子どももどんどん指名しましょう。手を挙げる,挙げないに関わらず,全員が学習者であることを意識して授業に取り組みましょう。一人ひとりに「自分も学習者」であるという意識が育ち,学習が教室全体に広がります。
【なぜ】
残念な授業を見かけました。「わかった人,手を挙げて。」と先生が声をかけ,わかった子どもだけが手を挙げ,その子どもたちを中心に授業が進みました。ほかの子どもはと目を向けると,下を向いて手持ち無沙汰にしていたり,隣の友達に話しかけたり。一見学習していないように見えますが,実は学習したい気持ち注)は持っていても,学習に参加できなくて困っていました。
学校は「わからないことがあるから来る」「できないことがあるから来る」ところのはずです。全員に力をつけるのが授業であるにも関わらず,手を挙げない子どもは,わからないまま帰るのかと残念に思いました。
保護者の方や子どもたちの中にも学習に対して「先生が質問して,わかった子どもが手を挙げてこたえる」という思い込みをもっている場合が少なくありません。ですから,答えがわからなければ手を挙げてはいけない,手を挙げられないと思い込んでいるのです。
さらに,手を挙げない子どもを指名することに対して「わからないから手を挙げないのに指名するなんて。」とご心配される先生もありました。しかし,考える力をつけるために授業改善に取り組み,自分の考えをどんどんつぶやく,発信し,学び合う授業づくりを目ざしているはずです。子どもの自発的な挙手だけに頼る授業で,力をつけることはできるのでしょうか。
「わかった子どもが手を挙げて発言する授業」では,子どもに力をつけるのは難しいのです。
【方法】
「手を挙げなくてもさしますよ。」と,子どもたちに知らせておきます。その理由をきちんと説明します。
「学校はわからないから来るのです。わからないことをわからないといえることは素晴らしいことです。わからないことは,みんなで考えてわかるようにしましょう。」学校が学び合う場であることがわかれば,子どもたちは変わります。何より教師の意識が変わり,授業が変わります。
「わからない」と言えた子どもを全体の前で褒めましょう。褒めるとは認めるということです。この積み重ねが学び合う授業をつくることにつながります。