昭和33年
第1節 国語
第1 目標
1 日常生活に必要な国語の能力を養い,思考力を伸ばし,心情を豊かにして,言語生活の向上を図る。
2 経験を広め,知識や情報を求め,また,楽しみを得るために,正しく話を聞き文章を読む態度や技能を養う。
3 経験したこと,感じたこと,考えたことをまとめ,また,人に伝えるために,正しくわかりやすく話をし文章に書く態度や技能を養う。
4 聞き話し読み書く能力をいっそう確実にするために,国語に対する関心や自覚をもつようにする。
上に掲げた国語科の目標1は,国語科において指導すべき総括的な目標である。目標2および3は,国語科において具体的に指導すべき聞くこと,読むこと,話すことおよび書くことの活動について,その目標を掲げたものであるが,これらの指導にあたっては,常に目標1の達成を目ざすとともに,目標4との関連を考慮して行わなければならない。
次に示す各学年の目標は,教科の目標を根底におき,内容において示した指導すべき事項と合わせ,それぞれの学年の具体的な指導のねらいとなる。
国語の指導は,国語科だけでなく,学校における教育活動の全体を通じて行われるものである。したがって,国語科の指導においては,他の教科,道徳,特別教育活動などにおける指導と密接に関連させて,国語の学習に関する基本的な事項を取り扱い,言語生活の向上を図るように努めなければならない。
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年〕
1 目標
(1)聞くこと話すことによって学校の生活に慣れるようにする。
(2)話を注意して聞くようにする。
(3)気おくれせずに話すことができるようにする。
(4)文章を読む方法の初歩がわかるようにする。
(5)文章を読むために必要な文字や語句を身につけるようにする。
(6)やさしい読み物に興味をもつようにする。
(7)書くことに興味をもつようにする。
(8)文章を書くために必要な文字や語句を身につけるようにする。
(9)言いたいことを文章に書くことができるようにする。
(10)文字をていねいに書くことができるようにする。
2 内容
A 聞くこと,話すこと,読むこと,書くこと
(聞くこと 話すこと)
(1)次の事項について指導する。
ア 話の仲間入りをすること。
イ 話し手のほうを見て,じゃまにならないように聞くこと。
ウ 話の内容をだいたい聞き取ること。
エ 物語や童話などを聞いて楽しむこと。
オ 何を言おうとしているかが相手にわかるように話すこと。
カ はっきり返事をすること。
キ 聞き手のほうを見て話すこと。
(2)次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 指示や説明を聞く。
イ 物語や童話などを聞く。
ウ あいさつをする。
エ 質問をしたり応答をしたりする。
オ 数人の仲間で話し合う。
上に示す活動のほか,「こども向けの短い放送を聞く」「動作化をする」なども望ましい。
(読むこと)
(1)次の事項について指導する。
ア 音読ができること。
イ 声を出さないで目で読むこと。
ウ 拾い読みでなく,語や文として読むこと。
エ 何が書いてあるかを考えて読むこと。
(2)次の各項目に掲げる活動を通して上記の事項を指導する。
ア 身のまわりの簡単な書き物を読む。
イ 児童の日常生活に取材したものを読む。
ウ 知識や情報を与える簡単な文章を読む。
エ 経験を広め心情を豊かにする童話,説話などさまざまな文章を読む。
(書くこと)
(1)次の事項について指導する。
ア 書こうとする気持を養うこと。
イ 何を言おうとしているかがわかるように書くこと。
ウ 文字の形に注意し,筆順に従って書くこと。
(2)次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 話合いによって共同で文章を作る。
イ 文や短い文章を見て書く。
ウ 身近なことで興味をもったことを文章に書く。
上に示す活動のほか,「文字や語句を組み合わせて文を作る」「絵などを見て文章を書く」なども望ましい。
B 以上の聞くこと,話すこと,読むこと,書くことにわたって,ことばに関する次のような事項を指導する。
(1)発音に気をつけ,また,幼児音を使わないこと。
(2)ひらがなを読み,また,書くこと。
(3)かたかなの一部を読むこと。
(4)「第3指導計画作成および学習指導の方針」に示す学年別漢字配当表の第1学年に配当されている漢字を中心とした40~50字ぐらいを読み,そのだいたいを書くこと。
(5)「,」(てん)に注意し,また,「。」(まる)をうつようにすること。
3 指導上の留意事項
(1)この学年においては,児童の話し聞く生活を土台として,読み書く生活へと導いていく。そのためには,自分のこと,家族,友人,教師のこと,その他見たこと,聞いたことなどのうち,特に興味のあることを中心にして,聞くこと話すことの基礎的な態度や技能を養いながら,読むこと書くことの学習に進むようにする。
(2)かたかなの指導は,ひらがなの読み書きがだいたいできるようになって後,日常普通に用いられている,かたかな書きのことばの読みを中心にして行う。
〔第2学年〕
1 目標
(1)聞くこと話すことの基礎的な態度を身につけるようにする。
(2)人の話を聞くことに慣れるようにする。
(3)楽な気持で話すことができるようにする。
(4)読みの初歩的な能力を身につけるようにする。
(5)読むために必要な文字や語句を確実に身につけるようにする。
(6)やさしい読み物を自分から進んで読むようにする。
(7)進んで文章を書こうとする態度を育てる。
(8)文章を書くために必要な文字や語句を確実に身につけるようにする。
(9)訴えたいことや知らせたいことを文章に書くことができるようにする。
(10)文字を正しく書くことができるようにする。
2 内容
A 聞くこと,話すこと,読むこと,書くこと
(聞くこと,話すこと)
(1)次の事項について指導する。
ア みんなといっしょに聞いたり話したりすること。
イ 注意を集中して聞くこと。
ウ 話されていることの順序に従って聞くこと。
エ 落ち着いてはきはきと話すこと。
オ みんなに聞えるようにはっきりと話すこと。
(2)次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 質問をしたり応答をしたりする。
イ 会話をする。
ウ 話合いをする。
エ 見たことや聞いたことなどの説明をする。
オ 経験したことや童話などを話す。
上に示す活動のほか,「放送を聞く」「動作化をする」なども望ましい。
(読むこと)
(1)次の事項について指導する。
ア 書いてあることをだいたい読み取ること。
イ 語や文として読むことに慣れること。
ウ 文章に即して書いてあるとおりに読み取ること。
エ 順序をたどって意味をとること。
オ 好きなところやおもしろいところを抜き出すこと。
カ 読むために必要な文字や語句を増すこと。
上に示す指導事項のほか,「本や雑誌の読み方がわかること」「学級文庫の利用のしかたがわかること」などについて指導することも望ましい。
(2)次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 身のまわりの書き物を読む。
イ 児童の日常生活に取材したものを読む。
ウ 知識や情報を与える説明的な文章を読む。
エ 経験を広め心情を豊かにする童話,説話,詩などを読む。
(書くこと)
(1)次の事項について指導する。
ア 進んで書こうとすること。
イ 知らせたいことが相手にわかるように書くこと。
ウ できごとの順序をたどって書くこと。
エ 書いたものを読み直すこと。
オ 文字の形や筆順に注意して正しく書くこと。
(2)次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 身近なできごとについて文章を書く。
イ 文や短い文章を見て書く。
ウ 書いたものを発表しあう。
エ 簡単な文を聞いて書く。
上に示す活動のほか,「語句を組み合わせて文を作る」なども望ましい。
B 以上の聞くこと,話すこと,読むこと,書くことにわたって,ことばに関する次のような事項を指導する。
(1)発音にいっそう気をつけること。
(2)かたかなをひととおり読み,また,書くこと。
(3)「第3指導計画作成および学習指導の方針」に示す学年別漢字配当表の第2学年までに配当されている漢字を中心とした140~160字ぐらいを読み,そのだいたいを書くこと。
(4)「,」(てん)に注意し,また,「。」(まる)を正しくうつこと。
(5)かなづかいに注意すること。
(6)ていねいなことばと普通のことばのあることに気づくこと。
3 指導上の留意事項
この学年では第3学年以後の学習が有効に行われるように,第1学年からの学習をいっそう徹底させ,低学年としての学習の一応のまとめをすることが必要である。
〔第3学年〕
1 目標
(1)いろいろな相手や場に応じて,聞いたり話したりすることに慣れるようにする。
(2)聞くことの基礎的な力を身につけるようにする。
(3)話すことの基礎的な能力を身につけるようにする。
(4)ある程度すらすらと読むことができるようにする。
(5)読むために必要な文字や語句を増すようにする。
(6)いろいろな読み物を読もうとする態度を育てる。
(7)かなり長い文章を書くことができるようにする。
(8)文章を書くために必要な文字や語句をいっそう確実に身につけるようにする。
(9)自分の考えや感じを文章に書こうとする態度を育てる。
(10)文字をいっそう正しく書くことができるようにする。
2 内容
A聞くこと,話すこと,読むこと,書くこと
(聞くこと 話すこと)
(1)次の事項について指導する。
ア わからないときには聞き返すこと。
イ 要点を聞き取ること。
ウ 自然な態度で話すこと。
エ 適切な大きさの声で話すこと。
オ 順序に従って話すこと。
カ 大事なことを落さずに話すこと。
(2)次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 質問をしたり応答をしたりする。
イ 会話をする。
ウ 話合いをする。
エ 説明をする。
オ 経験したことや物語,童話などを話す。
上に示す活動のほか,「放送を聞く」「劇化をする」なども望ましい。
(読むこと)
(1)次の事項について指導する。
ア 正しくくぎって適当な速さで読むこと。
イ 長い文章を終りまで読むこと。
ウ 横書きの文章の読みに慣れること。
エ 要点をおさえて読むこと。
オ 読み取ったことについて感想をもつこと。
カ わからない文字や語句を見つけ出すこと。
キ 読み取ったことを他人に伝えて楽しむこと。
上に示す指導事項のほか,「学級文庫の利用のしかたがわかること」などについて指導することも望ましい。
(2)次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 児童の日常生活に取材したものを読む。
イ 知識や情報を与える説明,解説などを読む。
ウ 経験を広め心情を豊かにする童話,物語,伝記,詩,脚本などを読む。
(書くこと)
(1)次の事項について指導する。
ア 書こうとするものをよく見て書くこと。
イ 書こうとすることがらをはっきりさせてから書くこと。
ウ かなり長い文章を書くこと。
エ 必要に応じて継続して書くこと。
オ 大事なことを落さずに書くこと。
カ 文字の組立方の基本に注意して,形を整えて書くこと。
上に示す指導事項のほか,「横書きに慣れること」などについて指導することも望ましい。
(2)次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 日常生活や学習のことを書く。
イ いろいろな行事やできごとを書く。
ウ 手紙を書く。
エ 観察したことや学級のできごとを書く。
上に示す活動のほか,「学級の新聞や文集を作る」なども望ましい。
B 以上の聞くこと,話すこと,読むこと,書くことにわたって,ことばに関する次のような事項を指導する。
(1)発音に気をつけて話すようにすること。
(2)かたかな全部を読み,また,書くこと。
(3)「第3指導計画作成および学習指導の方針」に示す学年別漢字配当表の第3学年までに配当されている漢字を中心とした310~350字ぐらいを読み,そのだいたいを書くこと。
(4)漢字で書く部分とかなで書く部分の区別をすることにより,送りがなについての初歩的な意識をもつこと。
(5)語句への関心を増すこと。
(6)文の中の意味の切れ目やことばのかかり方に注意すること。
3 指導上の留意事項
この学年では,聞くことや読書の範囲が広がり,語句の習得が著しく伸びる時期であるから,その点を考慮して新しい語句を身につけるように指導することがたいせつである。
〔第4学年〕
1 目標
(1)どういう聞き方や話し方がよいかがわかるようにする。
(2)聞いたことを生活に役だてることができるようにする。
(3)話題を豊かにする。
(4)正確に読むとともに,読む速さを増すことができるようにする。
(5)読むために必要な語句をいっそう増すようにする。
(6)読む量をふやし,読み物の範囲を広げるようにする。
(7)ある程度整った文章を書くことができるようにする。
(8)文章を書くために必要な文字や語句を増すようにする。
(9)文章を書く意欲を高め,目的をはっきりさせて書くことができるようにする。
2 内容
A 聞くこと,話すこと,読むこと,書くこと
(聞くこと,話すこと)
(1)次の事項について指導する。
ア 自分ばかりで話さないこと。
イ 聞いたことをまとめること。
ウ 考えをまとめながら話すこと。
エ 意味のまとまりごとにくぎりをつけて話すこと。
(2)次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 会話をする。
イ 話合いをする。
ウ 説明をする。
エ 報告をする。
オ 経験したことや物語,童話などを話す。
上に示す活動のほか,「放送を聞く」「劇化をする」なども望ましい。
(読むこと)
(1)次の事項について指導する。
ア 黙読に慣れること。
イ 文章を段落ごとにまとめて読むこと。
ウ 読み取ったことについて話し合うこと。
エ 必要なところを細かい点に注意して読むこと。
オ わからない文字や語句を文脈にそって考えること。
カ 知るため楽しむために本を読むこと。
上に示す指導事項のほか,「学校図書館の利用のしかたがわかること」などについて指導することも望ましい。
(2)次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 児童の日常生活に取材した日記または手紙,記録または報告などを読む。
イ 知識や情報を与える説明,解説,報道などを読む。
ウ 経験を広め心情を豊かにする童話,物語,伝記,詩,脚本などを読む。
(書くこと)
(1)次の事項について指導する。
ア 書こうとすることがらをまとめてから書くこと。
イ 段落を考えて書くこと。
ウ 中心点をおさえて書くこと。
エ 文字の大きさや配列に気をつけて書くこと。
オ 横書きに慣れること。
上に示す指導事項のほか,「メモをもとにして書く習慣をつけること」などについて指導することも望ましい。
(2)次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 日常生活や学習のことを書く。
イ いろいろな行事やできごとを書く。
ウ 読書や研究の記録を書く。
エ 手紙を書く。
上に示す活動のほか,「学級の新聞や文集を作る」なども望ましい。
B 以上の聞くこと,話すこと,読むこと,書くことにわたって,ことばに関する次のような事項を指導する。
(1)正しい発音で話すようにすること。
(2)「第3指導計画作成および学習指導の方針」に示す学年別漢字配当表の第4学年までに配当されている漢字を中心とした500~550字ぐらいを読み,そのだいたいを書くこと。
(3)「,」(てん)をうち,また,その他のおもな符号などの使い方を理解すること。(ローマ字文の場合を含む。)
(4)語句の組立について注意を向けること。
(5)文の中の意味の切れ目やことばのかかり方にいっそう注意すること。
(6)文章の常体,敬体の違いを理解すること。
(7)全国に通用することばとその土地でしか使われないことばとの違いを理解すること。
(8)ローマ字については,次の事項を指導する。
ア ローマ字で書いた語や簡単な文などを読むこと。
イ ローマ字で語や簡単な文を書くこと。
上に示す指導事項のほか,「全国に通用することばで文章を書いたり,また,話をしたりするように努めること」も望ましい。
3 指導上の留意事項
(1)第3学年に引き続いて読書の力が目だって伸びる時期でもあるから,いろいろな読み物に親しませて,経験を広め心情を豊かにするように努める。また,聞くこと,話すことの活動を通して話題を豊かにするように努める。
(2)ローマ字の指導に充てる時間は年間20時間程度とする。
〔第5学年〕
1 目標
(1)相手や場を考えて聞いたり話したりできるようにする。
(2)聞く態度と技能をいっそう伸ばすようにする。
(3)話す態度と技能をいっそう伸ばすようにする。
(4)調べるために読むことができ,また,味わって読むことができるようにする。
(5)わからない文字や語句の読み方や意味を自分で調べることができるようにする。
(6)読み物の範囲を広げ,読み物を自分で選択することができるようにする。
(7)文章を書く技能を伸ばし,かなり自由に書くことができるようにする。
(8)文,文章の組立や語句の使い方に注意して書くことができるようにする。
(9)文章を書く必要性を意識し,それに応ずることができるようにする。
2 内容
A 聞くこと,話すこと,読むこと,書くこと
(聞くこと,話すこと)
(1)次の事項について指導する。
ア 話題からそれないように話すこと。
イ 話し手の意図をとらえること。
ウ 率直な態度で聞くこと。
エ 相手にわかるように心がけて話すこと。
オ 主旨のはっきりした話し方をすること。
上に示す指導事項のほか,「よい放送を選んで聞く態度を育てること」「原稿をもとにした説明をすること」「聞いたことをメモにとること」などについて指導することも望ましい。
(2)次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 話合いや会議に参加する。
イ 説明をする。
ウ 報告をする。
エ 発表をする。
オ 朗読をする。
上に示す活動のほか,「放送を聞く」「電話やマイクロホンなどを使って話す」「劇などをする」なども望ましい。
(読むこと)
(1)次の事項について指導する。
ア 味わって読むため,また,他人に伝えるために,声を出して読むこと。
イ 書き手の意図や文章の主題をとらえること。
ウ 自分の生活や意見と比べながら読むこと。
エ 調べるために読むこと。
オ 自分の読書のしかたを反省して,その向上を図ること。
上に示す指導事項のほか,「国語辞典などが使えること」などについて指導することも望ましい。
(2)次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 児童の日常生活に取材した日記または手紙,記録または報告,感想などを読む。
イ 知識や情報を与える説明,解説,報道などを読む。
ウ 経験を広め心情を豊かにする物語,伝記,詩,脚本などを読む。
(書くこと)
(1)次の事項について指導する。
ア 主旨のはっきりした文章を書くこと。
イ 必要に応じて文章を詳しく書いたり簡単に書いたりすること。
ウ 段落のはっきりした文章を書くこと。
エ すいこうすること。
オ 書かれた文字の形,大きさ,配列などのよしあしを見分けること。
カ 書式に従って書くことに慣れること。
(2)次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 記録を書く。
イ 手紙を書く。
ウ 感想を書く。
エ 物語などのあらすじを書く。
上に示す活動のほか,「詩などを書く」「物語などを脚本に書きかえる」なども望ましい。
B 以上の聞くこと,話すこと,読むこと,書くことにわたって,ことばに関する次のような事項を指導する。
(1)「第3指導計画作成および学習指導の方針」に示す学年別漢字配当表の第5学年までに配当されている漢字を中心とした680~740字ぐらいを読み,そのだいたいを書くこと。
(2)かなづかいに注意して正しく書くこと。
(3)語句には,使い方のうえでいろいろな種類があることに気づくこと。
(4)文における主語述語の関係,修飾の関係に注意し,また,文と文との接続,文章における段落相互の関係などにも注意を向けること。
(5)全国に通用することばで書くようにすること。
(6)ローマ字につていは,次の事項を指導する。
ア 第4学年で学習したことのうえにたって,簡単なローマ字の文章を読むこと。
イ わかち書きに注意して,ローマ字の文を書くこと。
ウ ローマ字に使われるおもな符号について理解すること。
3 指導上の留意事項
(1)この学年では,話し手や書き手の意図を正確に聞き取ったり読み取ったりする学習に力をそそぐとともに,自分の表現しようと思う主旨をはっきりさせて,話したり書いたりできるようにする。
(2)ローマ字の指導に充てる時間は年間10時間程度とする。
〔第6学年〕
1 目標
(1)聞くこと話すことによって生活を高め充実していくようにする。
(2)判断しながら聞くことができるようにする。
(3)効果的に話すことができるようにする。
(4)目的に応じていろいろな読み方ができるようにする。
(5)読むために必要な語句の範囲を広げ,その量を増すようにする。
(6)よい読み物を選んで読む習慣をつける。
(7)書くことを身につけて生活に役だてることができるようにする。
(8)文章の組立や語句の使い方についてくふうするようにする。
(9)目的に応じていろいろな文章を書くことができるようにする。
2 内容
A 聞くこと,話すこと,読むこと,書くこと
(聞くこと,話すこと)
(1)次の事項について指導する。
ア 人の言うことを尊重して聞くこと。
イ 事実と意見を区別して聞き分けるように努めること。
ウ 話の順序を決めて話すこと。
エ 相手や場にふさわしい話し方をすること。
オ 正しいことばづかいで話すこと。
(2)次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 話合いや会議に参加する。
イ 説明をする。
ウ 報告をする。
エ 発表をする。
オ 朗読をする。
上に示す活動のほか,「放送を聞く」「劇などをする」「校内放送をする」なども望ましい。
(読むこと)
(1)次の事項について指導する。
ア 読み物の内容と読む目的に応じて,それに適した読み方をすること。
イ 書かれていることの中の事実と意見を判断しながら読むこと。
ウ 文章の組立や叙述に即して正確に読むこと。
エ 文章を味わって読むこと。
オ 要点を抜き出したり全体を要約したりすること。
カ どんな本がよいかを見分け,よい本を選ぶこと。
(2)次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 児童の日常生活に取材した日記または手紙,記録または報告,感想などを読む。
イ 知識や情報を与える説明,解説,報道などを読む。
ウ 経験を広め心情を豊かにする物語,伝記,詩,脚本などを読む。
(書くこと)
(1)次の事項について指導する。
ア 目的に応じた書き方を考えること。
イ 効果的に表現しようとすること。
ウ 材料を整えて書くこと。
エ 書くことによって自分の考えを深めること。
オ 文字の点画が乱れないように注意して正しく速く書くこと。
(2)次の各項目に掲げる活動を通して,上記の事項を指導する。
ア 記録を書く。
イ 報告を書く。
ウ 手紙を書く。
エ 感想や意見を書く。
オ 抜書きをしたり要約をしたりする。
上に示す活動のほか,「詩などを書く」「物語などを脚本に書きかえる」なども望ましい。
B 以上の聞くこと,話すこと,読むこと,書くことにわたって,ことばに関する次のような事項を指導する。
(1)ことばの抑揚に違いに関心をもつこと。
(2)「第3指導計画作成および学習指導の方針」に示す学年別漢字配当表の第6学年までに配当されている漢字を中心とした800~881字ぐらいを読み,そのだいたいを書くこと。
(3)語の由来などに関心をもつこと。
(4)文と文との接続,文章における段落相互の関係などに注意すること。
(5)日常よく使われる敬語の使い方に慣れること。
(6)必要な場合に全国に通用することばで話すこと。
(7)ローマ字については,次の事項を指導する。
ア 第5学年で学習したことのうえにたって,簡単なローマ字の文章を読むこと。
イ 正しくわかち書きをして,簡単なローマ字の文を書くこと。
3 指導上の留意事項
(1)この学年では,聞くこと,話すこと,読むこと,書くことのすべてにわたって,指導に一応のまとまりをつけることが必要である。
(2)ローマ字の指導に充てる時間は年間10時間程度とする。
第3 指導計画作成および学習指導の方針
1 年間計画は次のような点に留意して立てる。
(1)前後の学年の目標を見渡して,その学年の特性をよく考え,地域の実情や学級の実態を考慮に入れたうえで,聞くこと,話すこと,読むこと,書くことのそれぞれに片寄りがないように計画を立てる。
(2)各学年の内容に示す指導すべき事項および活動に基き,学習活動を組識する。そのためには,国語科の目標を根底におき,各学年の目標,内容の相互関係をはっきりさせておくことが必要である。
(3)各学年の内容に示す指導すべき事項や活動は,もし先にその指導の準備をしておくことが有効だと考えられる場合には,その前の学年で初歩的な形で取り上げ,また,その発展的指導をする必要があると考えられる場合には,そのあとのそれぞれの学年で程度を高めて取り上げてもよい。
(4)ことばに関する事項は,聞き,話し,読み,書く活動の中に含めて指導するのを原則とする。しかし,発音とか文字などのように,くり返して,練習をさせることが必要なものについては、特にそれだけを取り上げて学習させることができるように計画を立ててもよい。
(5)学習指導にあたっては,児童の必要と興味と能力に応じて話題や題材を選定し,聞き,話し,読み,書く活動が有機的総合的に展開されるように計画を立てる。その場合に,目標を明確にし,指導の中心をはっきりさせておくことが必要である。
2 話題や題材の選定にあたっては,児童の発達段階に即応させ,次のような観点のもとに片寄りのないように注意する。
(1)常に正しく強く生きようとする気持を養うのに役だつこと。
(2)人間性を豊かにし,他人とよく協力しあう態度を育てるのに役だつこと。
(3)個性的,独創的精神を養うのに役だつこと。
(4)道徳性を高め,教養を身につけるのに役だつもの。
(5)想像や情緒を豊かにし,生活を明るく美しくするのに役だつこと。
(6)自然や人生に対して正しい理解をもたせるのに役だつこと。
(7)論理的思考力や科学的態度を養うのに役だつこと。
(8)国語に対する関心や自覚を深めるのに役だつこと。
(9)国土や文化などについて理解と愛情を育て,国民的自覚を養うのに役だつこと。
(10)世界の風土や文化などに理解をもたせ,国際協調の精神や世界的視野を養うのに役だつこと。
3 聞くこと,話すこと,読むこと,書くことのうち,聞くこと,話すことに関しては低学年からじゅうぶんに指導し,小学校の第6学年を終了するまでに,どのような地域においても,全国に通用することばで,一応聞いたり話したりすることができるようにする。読むこと,書くことの指導は,学年が上になるにつれてしだいに比重を増して第6学年で一応のまとまりをつける。
4 学校においては,必要に応じて第4学年以上の適宜の学年で,毛筆による書写を課することができる。ただし,その指導に充てる時間は年間35時間をこえてはならない。
(1)毛筆による書写の目標および内容は次のとおりである。
ア 初歩の段階
目標 毛筆に慣れ親しんで興味をもって文字が書けるようにする。
内容 字画の簡単な文字による短いことばを書く。
この段階では,点画の長短,始筆,終筆,はね,払いなどを指導する。
イ 進んだ段階
目標 漢字のかい書やかなが正しく書けるようにする。
内容 短いことばを書く。
この段階では,文字のへん,つくり,かんむり,にょうなどの組立方や点画の接し方を指導する。
ウ さらに進んだ段階
イの目標,内容に基いて,さらに習熟させる。
(2)毛筆で書写させる文字,語句,文はその学年の目標や内容と考え合わせて選ぶことが必要である。
(3)毛筆による書写の学習は,書くことの指導の一環として行うものであるから,その学習によって文字の筆順や字形をよく記憶するのに役だち,文字や文を硬筆で書写するときにも,正しく美しく書けるようにすることがたいせつである。
学年別漢字配当表
(1年)
一二三四五六七八九十日月火水木金土左右上下大中小目耳口手足人子女先生赤青白山川田森雨花石本正
(46字)
(2年)
雲円王音何夏家会海外学間気汽休牛京玉空犬見元戸古工光行考校高合谷国黒今作糸思紙字時車秋出春書少色心西声夕切雪千前組早走草村多男池地知竹虫町長鳥朝天冬東道読南入年馬麦半百父風分文米歩母方北名明毛門夜友用来力立林話
(105字)
(3年)
悪安暗意引運駅園遠屋温化科荷歌画回貝界開絵角活寒感岸岩顔記起帰期客究急級球去魚教強橋局近銀苦君兄形計決県研原庫午後語公広交向黄号根才細算止仕市死使始指次寺自事持室実社者弱主取首受終週集住重所暑助昭勝乗場食申身新神深進親図数世星晴船全送太体待台第炭茶着注柱昼追通弟鉄店点電都度刀当投島答頭同動肉波配買売畑発坂板番皮美表病品負物聞平返勉毎妹万鳴面野役由遊葉様曜落楽里理流旅両礼和
(187字)
(4年)
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(205字)
(5年)
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(194字)
(6年)
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(144字)
指導上のつごうによっては,若干字をこの表で示した学年の前または次の学年で指導してもよい。