第21話 我が家も参院選(2)
--お母さんがお茶を入れ終わる。
まどか「わかったわ。こうよ」
お父さん「どれどれ・・・」
まどか「こんな計算なのよ」(下表)
お父さん「何だい,これは?ただのわり算じゃないか」
まどか「そうなの。この表を見てて。これでもう結果が出ているのよ」
お母さん「どういうこと?」
まどか「この表の中でいちばん大きい数はどれ?」
お父さん「いちばん大きい数・・・?535だ」
まどか「次は?」
お父さん「・・・340!」
まどか「次は267.5ね。その次は?」
--言われた数に印をつけていくまどか。
お父さん「170か」
お母さん「違うわ。178.3・・・よ」
お父さん「あ,そうか」
--170に印をつけたところで,
まどか「これで決定!」
お父さん「えっ?」
かずき「これで決まっちゃったんだよ」
お母さん「どう決まったの?」
まどか「印のついたところを見てみて!」
まどか「印の数は,お父さんのところが0,私のところが3つ,かずきのところが2つ。つまり,お父さん党0人,まどか党3人,かずき党2人ってなるの」
お母さん「こんなに簡単なの。しかも四捨五入のときは,お父さん党に1人だったのに」
かずき「そう!お父さんごめんね」
お父さん「なんだかくやしいなぁ・・・。この前の参議院選挙でも,この方法なのか?」
まどか
かずき「そう!」
--顔を見合わせるお父さんとお母さん。
まどか「得票数を自然数でどんどんとわっていって,その答えの大きい順に当選者が決まっていくの」
かずき「そうなんだって。ホント方式って言うんだっけ?」
お母さん「ホント?」
まどか「違うでしょ!ドント方式っていうの。これだとめんどうくさくないでしょ」
お父さん「確かにややこしい端数(はすう)の四捨五入はでてこないなぁ」
かずき「でも,なんでこの方法でいいのかなぁ」
まどか「そんなの,自分で考えなさいよ」
お母さん「でも,何となく支持者の数に合わせているって感じはするわ。2でわったら,2でわったぶんの,3でわったら3でわったぶんの支持の大きさで比べている,って感じ・・・」
まどか「わる数は,自然数以外の数を使う方法もあるみたい。でも日本の参議院の比例代表は,この方法でやっているんだって」
お父さん「調べてみるもんだな。初めて知ったよ」
お母さん「私も,長年の疑問がスッキリしたわ!」
--思わず微笑むかずき。
まどか「かずきったら,何よ,ニヤニヤして」
かずき「だって,お姉ちゃん,『比例』って言葉,苦手じゃなかったのかなぁって・・・」
まどか「あっ,そうだったぁ。もう,やだなぁ,この『比例』とか『関数』!」