小学校国語
言葉のてびき
教育出版株式会社 編集局
Q14
「先生」は「せんせい」か「せんせえ」か
「先生」「宣誓」などは,現代仮名遣いでは,いずれも「せんせい」と書き,「せんせえ」とは書かないことになっている。
これらの語を「せんせい」と書くのは,「常用漢字表(じょうようかんじひょう)」に「生・誓」の音が「セイ」と掲げられていること,例欄に「先生」「宣誓」が掲げられていることなどによっている。これは,エ列長音としてではなく,〔ei〕という二重母音であることを標準的なものとして認めたからであろう。
なお,昭和61年7月1日告示の「現代仮名遣い」では,「付記」として,
次のような語は,エ列の長音として発音されるか,エイ,ケイなどのように発音されるかにかかわらず,エ列の仮名に「い」を添えて書く。
例かれいせい(背)かせいで(稼)まねいて(招)
春めいて
へい(塀)めい(銘)れい(例)えいが(映画)
とけい(時計)ていねい(丁寧)
とある。
しかし,実際の発音では,「センセー」のように「セ」の母音を延ばしたように発音することも多い。
『NHK編 日本語発音アクセント辞典』(日本放送出版協会刊)の中の「全日本の発音とアクセント」では,
共通語では,連母音エイをエーのように長母音に発音するのが普通である。たとえば次の例のとおり。
この長母音は,(略)東京方言以外の地方にも広く行われる。これに対して日常生活で,エイが優勢な地方は,九州をはじめ四国・紀伊半島などの過半や伊豆の利島などである。しかし,今日では,これらの地方でも,しだいにエイは退化して「エー」に変わりつつある。(編集部注"コ°"は鼻獨音であることを表す。なお,アクセント記号は煩雑になるので省いた。)
エーコ°(英語)・ケーサツ(警察)・センセー(先生)・テージ(定時)・ヘーワ(平和)・メーモク(名目)・レーカイ(例会)
ただし,特にていねいに発音する時は,エイコ°・ケイサツのようにエイにもなる。この長母音は,(略)東京方言以外の地方にも広く行われる。これに対して日常生活で,エイが優勢な地方は,九州をはじめ四国・紀伊半島などの過半や伊豆の利島などである。しかし,今日では,これらの地方でも,しだいにエイは退化して「エー」に変わりつつある。(編集部注"コ°"は鼻獨音であることを表す。なお,アクセント記号は煩雑になるので省いた。)
と述べており。「先生」などを長音として取り扱うかどうかについては,今後の問題として残るであろう。
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