小学校国語
言葉のてびき
教育出版株式会社 編集局
Q22
「さびしい」か「さみしい」か
「さびしい」と「さみしい」は,どちらの言葉も使われているが,より標準的な言い方なのは,「さびしい」である。同様に,この言葉から派生した語についても,「さびしさ」「さびしげ」「さびしがる」などを標準的とするべきであろう。なお,「常用漢字表(じょうようかんじひょう)」においても,「寂」の訓には,「さび」「さびしい」「さびれる」しか掲げられていない。
多くの小型の国語辞典類は,「さびしい」を本見出しとし,「さみしい」をから見出しとしている。
古い資料であるが,国立国語研究所が昭和30年度に行った「語形確定のための基礎調査」によると,標準語形としては「さびしい」を採った回答者が多数であり,その理由として,次のような事柄をあげている。
※「さびしい」を採る理由
一般的46% 本来の形35% 共通語的32% 言いやすい16%
口頭語的・語感がよい・聞きわけやすい各15%
※「さみしい」を採らない理由
特殊的40% くずれた型・地方語的各20%
「さびしい」「さみしい」の語形の変遷について,『日本国語大辞典』は,「さみしい」の項で次のように述べている。
上代の「さぶし」が平安時代に「さびし」となり,それがさらに変化した語。近世以降「さびし」「さみし」は並んで用いられ,のち「さむしい」「さぶしい」の形もみられる。
なお,「さみしい」は,「さびしい」よりも主観的・情緒的なニュアンスが強く,流行歌などにおいては,むしろ「さみしい」のほうが多用されているのではないだろうか。
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