第19話 世の中便利に・・・!?(3)
かずき「えへん!それだけではなーい!かずきの発見,第2弾!」
--思わずイスの上に立って片手を上げるかずき。
お母さん「何,まだあるの?」
かずき「実は,同じようなものがまだあるんだな」
まどか「よっ,かずき!」
かずき「本の裏の表紙についている,ISBNっていう数字知ってる?」
お母さん「ああ,これね」
--近くの雑誌を手に取るお母さん。
かずき「このISBNは次のような意味があるんだ」
最後の数字をのぞいて,上から10,9,8,7,...,2をかけていくと...
10×4+9×3+8×1+7×6+6×3+5×7+4×9+3×2+2×0=212
これに最後の数字の8をたしてみるとね,220になるでしょ」
お母さん「これも何かの倍数になっているの?」
かずき「そうなんだな。220でしょ...」
お母さん「わかった,やっぱり10の倍数?」
かずき「ざんねーん!実は,11の倍数になるんだって。今度は,必ず11の倍数になるための数字なんだ」
お母さん「へぇー,そうなんだ!」
まどか「こういう数字のことを,CheckDigit(通称:CD)って言うんだって」
かずき「そうそう,そう書いてあった」
まどか「本にもバーコードがついていて,上のバーコードはISBN,下のバーコードは書籍(しょせき)の分類コードや値段なんかもわかるようになっているんだって」(下図)
お母さん「何でも盛り込んであるのね」
かずき「バーコードは次々と新しいタイプのものが開発されていて,最初のケータイのQRコードもそうだし,他にも運転免許証や病院のカルテなんかにも利用されて,今までどんな違反したか,どんな病気にかかったか,なんかもピッと一瞬でよみとれるようにする試みもあるんだって」
お母さん「そう言えば,送られてくるはがきの中にも,特殊(とくしゅ)なインクを使ってバーコードが印刷されていたわ。このバーコードは,肉眼では見えないけど,特殊な光をあてるとそれがわかるようになっている,なんてテレビでやっていたの,この前見たわ」
かずき「世の中,本当に便利になったもんだね」
まどか「でも,かずき。今日はなかなかさえてるよ!」
かずき「ぼくも,調べるまでは,こんなこと思ってもみなかったよ。よく見る数字にも一つ一つにちゃーんと意味があるんだってこと,よくわかったよ。倍数の勉強なんて,なんでこんな勉強するのかなぁ,なんて思ってたけど,ちゃーんと身のまわりで使われているんだなって。なんか感激しちゃった!」
お母さん「かずきも,少しは6年生らしくなってきたわねぇ」
かずき「『少しは』だけ余計だなぁ」
まどか「あっ,パパが帰ってきた!おかえりなさい」
お父さん「おうっ,ただいま。どうしたぁ?みんな顔合わせて,深刻な相談か?」
まどか「パパ,またどこかで飲んで帰ってきたでしょ?」
お父さん「そ,そんなことは,ない。みんなの顔を早く見たくて,まっすぐ帰ってきた」
かずき「うそでしょ?」
お父さん「な,なんだ。う,うそじゃないぞ」
かずき「お父さんがお酒を飲んだときの『きまり』!眼の下が赤くなる」
お父さん「な,なんだって。あっ,そうかぁ...,いやぁーごめん,ちょっと会社の若いモンに引き止められて,ち,ちょっとだけ...。ホントにちょっとだけだぞ」
お母さん「何でもいいわよ。さぁ,夕食にしましょ」
関連リンク
注)本稿の作成にあたり,バーコードの情報について,次のサイトを参考にさせていただきました。(別ウインドウが開きます)▶︎