第11話 家族で『バーチャQ』!?(2)
--ふと思い出した,という感じでお父さん。
お父さん「『ん』を除いた五十音すべてを使ってできる言葉,ってあるのを知っているかい?」
かずき「五十音全部!?」
まどか「あ,い,う,え,お,・・・わ,を,まででしょ。そんなにたくさんあったら見つけるのも大変じゃない!?」
お父さん「そうだな。ものすごい数の言葉のパターンが考えられるだろうからね」
かずき「無理だよ,そんなの」
まどか「でも,そんな言葉があるの?」
お父さん「それだけ多くなれば,言葉,というよりも詩や歌になるんだけどね」
かずき「それは何?教えてよ!」
お父さん「ペンを貸してごらん」
--メモ帳に書き出すお父さん。
お父さん「これだよ」(図1)
かずき「お父さん,これいつの時代の話?」
お父さん「1000年以上も昔の話」
かずき「へぇ,すごい。でも,『あ』も『い』も『う』も,『か』も『さ』も・・・,本当だ。みんなあるよ」
お父さん「でしょ!」
まどか「でも,何かどこかで聞いたことがある。国語の先生が教えてくれたような気がする」
お母さん「『いろは歌』って言うのよ。お母さんが中学生のころには,全員覚えさせられたのよ」
お父さん「何だ,お母さんもそうか。お父さんも中学のときに覚えたんだ。『ん』を除いた47文字を1回ずつ使ってできている歌で,『いろは』を覚えるのに役立ったんだ」
--メモを見つめるまどかとかずき。
まどか「47文字の言葉かぁ。これ,究極の並びかえだね」
かずき「ぼくも自分で並びかえの問題を作ってみようかな」
お父さん「おっ,かずきにしてはめずらしく前向きな発言!」
お母さん「期待しているわよ」
かずき「任せて!」
--次の日の朝。
かずき「みんな,見て!新しくぼくのオリジナルの問題を作ったよ」(図2)
みんな「どれどれ・・・」
--かずきの問題に注目する3人。
--じっと6文字を見つめて・・・
お母さん「わかった!お,わ,だ,さ,と,し。小和田聡,となりのおじさんね。」
かずき「当たり!お母さん,並びかえの問題,得意だね。でもね,もう一つ答えがあるんだ。全部調べたんだよ,樹形図書いて。全部で240通りもあったんだから」
お母さん「240通り!?」
まどか「かずきにしては,がんばったわね。へぇー。あと一つって何だろう」
--またまた6文字に注目の3人。
お母さん「わかった!」
まどか「お母さん,すごいねぇ」
お母さん「さ,わ,だ,と,し,お。さわだとしおってだれかしら。
どこかで聞いたことある気がするけど・・・」
かずき「やだなぁ。ぼくの担任の先生じゃないか!」
お母さん「あら,本当だ。ごめんなさい・・・」
かずき「もう,お母さんたら・・・」
お父さん「おいおい,朝から盛り上がらないでくれよ。遅刻(ちこく)しそうだぁ」
まどか「本当だ。大変!!」